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いまの3次元モデル活用はSTLが鍵だ第19回 設計・製造ソリューション展レポート(後編)(1/2 ページ)

2008年6月25日から27日までの3日間、東京ビックサイトにて「第19回 設計・製造ソリューション展(以下、DMS展)」が開催された。後編では、ここ数年で盛り上がりを見せるCAEゾーン、ラピッドプロトタイピング・3Dプリンタ ゾーンを紹介する。

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 設計・製造ソリューション展レポート(前編)では、技能伝承ゾーンについてお伝えした。今回はCAEゾーンとラピッドプロトタイピング・3Dプリンタ ゾーンのブースを主にレポートする。

 ユーザーの目的別に使いやすく考慮されたCAEやラピッドプロトタイピング(RP)技術の登場により、設計・開発期間を大幅に短縮可能となった。短納期化、コストダウン、品質向上、機能向上といった課題のいずれも外すことが許されない現在である。これらの技術動向からは目が離せないはずだ。


CAEゾーン・ブースは増加傾向

サイバネットシステム

 開催直前! DMS2008速報「若き技術者よ後に続け! 技術伝承ゾーン新登場」で述べたように、ここ数年のDMS展ではCAEや解析関連の出展が増えてきている。また最近は、高度で複雑な計算をしながらも、従来のようなプログラミングが必要なソフトウェアばかりではなく、GUIによる直感的な操作もできるソフトウェアが増えてきている。サイバネットシステムが展示したANSYS(ANSYS社)シリーズもまた、そういった流れを踏まえているといえる。

 サイバネットシステム メカニカルCAE事業部 マーケティング室 恒木宏和氏はこう語った。「ここのところで一番問い合わせが多いのは熱流体解析関連です。家電や携帯電話では、ダウンサイズしながらも高機能化を要求されます。筐体内の限られたスペースで、いかに効率よく熱を逃がそうか……、どこの企業さんにおいても重要な課題となっているようです。それから電磁構造連成解析の問い合わせも多いです」。

 また今年の同社ブースでは「設計者向けCAE」といううたい文句が出てこなかった。こういった動きに関して恒木氏は「CADベンダがCAEベンダを買収し、自社のCADへCAEを統合するといった動きが最近では活発です。もちろん設計者向けCAEへの取り組みはこれまでどおり行っていきますが、マルチフィジックやマルチスケールの分野への取り組みなどを通じて、CAE専門ベンダならではの高度な解析技術をより強くアピールしていきます」とコメントした。

サイバネット
サイバネットシステムのステージ・プレゼンテーション

 ステージのプレゼンテーションではマルチスケールCAEの「Multiscale.Sim」を紹介していた。Multiscale.Simは、材料の局所的な部分(ミクロ)と部品構造全体(マクロ)との間で解析結果を相互に反映し合う力学解析が可能である。これは複合材料を試作検討するときなどに有効であるという。現行版では異方性弾性係数や熱伝導率など、材料物性値のみの対応となっているが、将来的には断塑(そ)性やクリープといった非線形な物性へも対応できるよう開発継続中とのことだ。マルチスケール理論については東北大学の寺田賢二郎准教授と日東紡績、プログラム開発はくいんとと共同で開発した。


ヴァイナス

 ヴァイナスの扱う解析ソフトウェアは流体解析と構造解析の2つが主流であるという。CAEと、解析ソルバと連携させるタイプの設計最適化支援ツールを販売している。

ヴァイナス
ヴァイナスのプレゼンテーション

 ノンパラメトリック構造解析ソフトウェアの「TOSCA」(独FE-DESIGN社)は、位相最適化解析や応力解析をしながら、モデル形状を最適化していくツールだ。TOSCAでは、例えば応力を解析しながら形状を変更し応力集中を緩和していく検討などを行える。ノンパラメトリック解析とは、あらかじめ指定した領域の応力解に応じて、最適(合理的)な形状を自動的にどんどん割り出していってくれる手法である。対して、従来手法であるパラメトリック解析は、ユーザーが寸法設定を行い、その寸法を調整しながら最適形状を探っていくことになる。

 また非線形解析や疲労解析にも対応している。最適化した形状はIGESやSTL(次のページで説明)などの中間フォーマットを介することでCADにデータをエクスポートできる。TOSCAはBMW社やAudi社など欧州大手自動車メーカーで採用実績がある。

ヴァイナス
ヴァイナスのプレゼンテーション「エンジンブロックの最適化」

 「FieldView」(米 Intelligent Light社)は流体解析ソルバと連携し、大規模で複雑な流体現象を3次元グラフィックで可視化するツールだ。熱や音、磁場などが伝播(ぱ)する範囲を断面で観察したり、その渦中心の自動検出が可能だ。技術評価やプレゼンテーションに活用できる。

ヴァイナス
FieldViewの画面

 2008年秋にリリース予定である最新バージョン「FieldView 12.1」では、リアルな空や雲など、臨場感を出すためにCG(コンピュータグラフィック)の背景を入れることができるようになるという。また多面体セル結果の機能向上を図ったり、アンチエイリアス処理に対応したりなど、CG処理技術をより強化していく予定である。

 同社の扱う製品には、ターボ(回転機器)に特化した熱流体解析システム「FINE/Turbo」(NUMECA International社)と最適化設計システム「FINE/Design3D」(NUMECA International社)がある。航空機、自動車、家電とさまざまな分野におけるターボ機構の解析に対応する。

 FINE/Turboは複雑な形状をしたターボ部品の形状でも、PC上で高速かつ高精度で処理を行うことを得意としている。また複数の解析ジョブや作動点解析を一括で行える。もちろんFINE/TurboとFINE/Design3Dを連動させての作業も可能だ。

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ヴァイナス

くいんと

 計算力学関連ソフトウェアを開発するくいんとは、同社CAEや解析支援ツールを展示した。

くいんと
くいんとのブース

 「AMDESS」は、応答曲面法を用いて数値最適化を行う解析ツールだ。衝突、音響、電磁場、振動、熱流体など、さまざまな解析に応用可能だ。

 例えば成形時のゲート位置が、充填の応力分布へどのように影響をおよぼすのかを解析することができる。流動時の圧力の大小やその分布は型締力(金型を閉じる力)に影響する。型締力を最小限に抑えれば、省電力につながるし、金型に掛かる負担を減らせるので型寿命を延ばすこともできる。またゲート位置は体裁形状にも詳細形状にも影響するので、機構・筐体設計者が気にする部分でもある。

くいんと
くいんとのプレゼンテーション:G1からG5のゲートでは、どの部分が流動圧力に響くか

 「VOXELCON」はCT画像やCADデータを読み込み、構造解析ができるツールだ。例えば、製作した実物とCADデータとの間の寸法差異を確認したり、材料内部の気泡分布の解析などが可能だ。またCT画像とCADデータを組み合わせて解析用モデルを作成することもできる。

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