社内の対立を解消するツールとその使い方を伝授:ジレンマ解消! TOC思考プロセスの基本を学ぶ(2)(3/3 ページ)
TOCは工場の生産性を改善するだけの手法にとどまらない。相反するニーズの板挟みに悩まされる組織の「ジレンマ」を解消し問題解決を目指す体系的なアプローチ「TOC思考プロセス」を紹介しよう。
中核のジレンマを探る3クラウドの作成方法
「雲:クラウド」(対立解消図)は問題の背景を探り、ジレンマを目に見える形にできる便利なツールです。ここでは3つの「雲:クラウド」作成して、根本的なジレンマを探し出してゆく「3クラウド法」を簡単に行う方法を紹介します(本作成方法は筆者が独自に開発した簡易法で、TOCセミナーで教えているやり方とは異なります)。
1: まず自らのゴールや達成したい状態を確認します
2: 達成したい状態と現状を対比し、目標達成を妨げていると考えられる問題や不満をメモしておきます
3: メモを見ながら、次の質問に答えます
「私は目的を達成するために○○すべきと感じる、しかし一方でよく△△してしまったり、もしくは××せざるを得ないことがたびたびある」
4: ○○、△△、××に該当する言葉を埋めて、(○:D)と(△もしくは×:D')のジレンマのペアを作ります
5: 3−4の作業を繰り返し、ジレンマを残らず抽出します(DとD')
6: ペアの中で、何度も繰り返し悩まされているジレンマの上位3つを抜き出します。この時の3つはできるだけ毛色の違うジレンマを抽出します
7: A)D1からD3の3つの特徴などを考えながら、1つにまとめます。
B)D'1からD'3の3つの特徴などを考えながら、1つにまとめます。
対立解消図の作成
8: もう一度目的を確認し、フォームのA欄(図7)に記入します
9: 選択したペアをDとD'としてフォームに記入します。このときにDとD'に対立や矛盾があることを確認します
10: Dはなぜそうした行動を取らなければならないのか、という理由(ニーズ)をBに記述します
11: D'はなぜそうした行動を取らなければならないのか、という理由(ニーズ)をCに記述します。
12: クラウドを作成した逆の順番で読み上げてみます。「Aを達成するためにはBというニーズを実現しなければならない、Bという状態を実現するためにはDという行動を取らなくてはならない。そしてAを達成するためにはCというニーズを実現しなければならない、Cという状態を実現するためにはD'という行動を取らなくてはならない。DとD'は同時に実行できない」と読んでゆきます
理由(仮定)の抽出
13: クラウドを眺め、矢印の背後に存在する理由や仮定もしくは思い込みを調べます。B−DおよびC−D'、D−D'間の関係を成り立たせている理由(仮定)を、次の質問に答えることにより表面化してゆきます。
解決案の作成と検討
14: 抽出した理由に着目し、その理由を無効にする「変化」を実現することで、ジレンマを打ち破れます
アイデアを注入するポイント
(1)因果関係を示す矢印の背後にある理由を声を出して読んでみて、1〜2秒その理由は正しいか考えてみる。もし間違った前提条件に基づいているならば、赤線で消す。
(2)4つの矢印のどれかに潜む前提条件を覆す条件を注入する。
(3)本質的な対立の解消が目的であり、折衷案を考える必要はない。
解決策の検証
15: 解決策で、BとCが成し遂げられ、Aが実現されるかチェックする。もしできなければ解決策が不十分なので、いい換えてみたり、ほかのものを選んでみて、再びチェックします。
◇ ◇ ◇
次回は、皆さんが抱える数多くの問題(UDE)を、本当に中核の雲が発生させているかを検証していきましょう。
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