インターネプコン“ものづくりの匠”探訪:メカ設計 イベントレポート(1)(1/2 ページ)
第37回 インターネプコン・ジャパン内の産業機械や部品加工に関連する企業のブースを中心に訪れてみた
高い機能と併せ、厳しいダウンサイジングと精度も要求されるエレクトロニクス部品の製造や実装を支えるのは、機構技術や部品加工技術でもある。
今回は、第37回 インターネプコン・ジャパン内の産業機械や部品加工に関連する企業のブースを中心に訪れてみた。本記事では、その一部をレポートする。
蛇の目ミシン工業
蛇の目ミシン工業のブースでは、さまざまな産業機械と自社製の注型機などを展示した。
同社は名前のとおり家庭用ミシンを開発・製造してきた老舗企業だ。一般人の感覚では、産業用ロボットや車のバンパー、携帯電話の部品まで作っているとは考え付かないのかもしれないが――最近のジャノメでは産業機器や自動車分野への取り組みに力を入れているという。
そもそも「ミシン」という言葉は、「Machine(機械)」がなまったものだ。上写真のスカラロボットでも、長年のミシン開発で培われた機械設計技術が生きている。ワークに対して垂直に素早くストロークするスカラロボットの動作は、ミシンとも共通している。
蛇の目ミシン工業では機密漏えいを防ぐために自社工場内で部品試作や加工を行うことを昔から徹底してきたという(蛇の目ミシン工業 矢島朋秀氏)。そんな中、注型試作、機構設計、加工といったひとつながりの技術が、社内で育ってきた。車のバンパーなど大きい部品も製作可能な注型機も自社開発している。以下の写真は、同社製の小ロット鋳造サンプルである。
ワタナベ
上段に並んだ虹色オブジェたちが、訪れる人々の目をぱっと引く、そんなワタナベのブースだが、本当に見てほしいのはそこではないという。「(ワタナベは)こんなにいろいろなことができる! と伝えたかった」と渡辺英作社長は記者に語った。
ワタナベは精密板金加工・製造を行う新潟の企業。18年前、渡辺社長1人っきりでスタートした会社だそうだが、現在では社員40名を抱える。主な取引先は、梱包装置メーカーや半導体装置メーカーであるという。板金加工のほかにも、重量運搬機やタッピング補助工具も自社開発して販売している。これらはもともと、自社の加工現場のために開発したという。
上記の取引先からはイメージしづらい、かわいらしいメタルアートはYAGレーザー溶接とチタン発色の技術によるものだ(チタン発色は外注によるもの)。ちなみに、自社ビルの外観にも、このチタン発色による虹色のオブジェがあしらわれている。そのオブジェのデザインは渡辺社長自身によるもので、社員の持つ個性を大事にしたいという思いを込めたという。若い社員が多いという同社なので、建屋のイメージや独創性も社員のモチベーションアップの大事なファクターといえる。
近年は、ワタナべのように職場の建屋のイメージアップを図ることで、少しでも製造業の“3K”イメージを払拭(ふっしょく)しようと張り切る製造企業が散見されるようになった。
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