単位系の統一をキチンとしないから解析をミスる:仕事にちゃんと役立つ材料力学(1)(2/2 ページ)
フリーソフトや資料を駆使して、単位系換算のミスを効率よくトリプルチェックしていく。これだけでも、構造解析のミスはかなり減る!
まずは、単位系のお話から
解析工房では、いくつかの手計算による例題をやってもらっています。
ある数式を示して、そこに値を代入してもらうようなカンタンな計算です。基本的には四則演算で、そのほかは、あってもルートくらい。電卓があれば中学生でもカンタンにできる計算です。それなのに、それなのに……みんな間違えるんですよ。数字としては合っているんですが、問題は単位系なんです。
これまでの僕の経験では、解析の間違いの80%は入力データの間違い。さらに80%が単位系の間違いです。特に単位系をそろえる部分で間違いが多いようです。
新しい材料を使うとき、初めて解析するときなど、材料特有の値をさまざまな文献から引っ張ってきますが、単位系がバラバラの場合があります。そこで単位系をそろえるわけですが、これをなぜか間違える人が多いのです。もちろんサラッとできる人もいるわけですけど。
とにかく単位換算は正確に行っておかないと、後の作業がすべて水のアワとなる可能性があります。
そこで僕は単位換算に関しては、以下のようにトリプル・チェックをしています。
ステップ1
まずは単位換算表を使い、自分のアタマと手で単位換算を行ってみます。
ステップ2
単位換算ソフトを使い、自分の単位換算が正しいかどうか確認します。単位換算ソフトはフリーのソフトが多数そろっています。
僕は「ドクターUnits」というソフトを愛用しています。材料力学では不可欠な応力(いまはまだ何のことか分からなくても構いません)に対応しているソフトです(図2)。
ドクターUnitsだけでは基本的な単位変換しかできませんので、ドクターUnits用の単位換算データベースを読み込ませて使用します。
ステップ3
自分の単位換算が間違っていて、万が一、ひょっとすると、われらのドクターUnitsも間違えているかもしれません。まあ、そんなことは0.01%もないとは思いますが……。そこで念には念を入れて3つ目のチェックです。このチェックには単位換算サイトである「ユニットマーケット」が有効です。「2008年新年のごあいさつ」が出ていたので、情報は新鮮かつ継続的だと思います。
このサイトもしっかりと応力に対応していますよ。
以上、これだけの方法を使ってチェックしておけば、単位換算も万全です。
単位の統一、ちゃんとやっています?
ところで、皆さんの会社では単位系を統一していますか? 最近はSI単位系をスタンダードとしている会社が多くなってきました。これは現場での実感です。
ものはついでですので、SI単位系について少しだけ説明します。SI単位系とは、国際単位系のことです。7つの基本単位を組み合わせて単位を定義します。基本単位の中で長さを表すのは「メートル」です。日本だとこれまで「ミリ」が使用されているのが多かったと思います。現在では、ほとんどの国で合法的に使用でき、多くの国で使用することが義務付けられています。
日本では、1991年に日本工業規格(JIS)が完全に国際単位系準拠となりました。また1999年10月1日をもって、取引または証明に用いる計量単位はSI単位でなければならなくなりました。これが多くの会社がSI単位系に移行している理由なのでしょう。
また2002年から、教科書でも採用が開始されました。ダイエットでおなじみの熱量を表す単位cal(カロリー)もSI単位系ではJ(ジュール)となります。「私はメタボなので、ジュールの高いものは、ちょっと……」などというときも間近なのですね。SI単位系についてもっと知りたい方は、ほかのWebサイトや参考書などでも調べてみてください。
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さて、次回より材料力学のお話に入っていきたいと思います。次回は、なんで材料力学を知っていると設計に役立つのか、材料力学の御利益をお話ししたいと思います。
それでは、今回はこの辺で。お疲れさまでした。(次回に続く)
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