【問題14】 トランジスタでLED点灯(2):完全マスター! 電子回路ドリル(16)
トランジスタには「ベース」「コレクタ」「エミッタ」の3つの電極があります。また、pnp型とnpn型の2つの種類があります
【問題13】の解答
前回の宿題は【問題13】のトランジスタ回路において、LEDが光るのは出力ポートから1(High)が出力されたときか? それとも、0(Low)が出力されたときか? という問題でした。
皆さん解けましたか?
解けた方も解けなかった方も答え合わせをして、次項の解説までぜひ読んでみてください。毎週コツコツ問題を解いて、電気・電子回路の基礎知識を身に付けてください。
それでは、解答を発表します!
【問題13】の解説
【問題11】で解説したとおり、マイコンのポートに流せる電流の許容値はおよそ数mAです。中には大電流ポートと称するものもありますが、それでも数十mAの電流しか流すことができません。そこで、【問題13】の回路では、トランジスタの増幅作用によりもっと大きい電流を制御しているわけです。
ここでトランジスタについて、簡単に解説します。
図1にトランジスタの回路記号を示します。
図1のとおり、トランジスタには、「ベース」「コレクタ」「エミッタ」の3つの電極があります。そして、トランジスタには「pnp型」と「npn型」の2つの種類があります。pnp型とnpn型では電気特性がプラス・マイナス逆になっていますが、基本的な使い方は同じです。実際にはnpn型の方が多く使われ、そして種類も豊富です。
次に、トランジスタの基本的な使い方を示します(図2)。
図2のトランジスタ回路は、「エミッタ共通回路(またはエミッタ接地回路)」と呼ばれ、信号入力にベース、信号出力にコレクタ、そしてエミッタを入出力共通に使っています。
トランジスタの増幅作用とは“ベース − エミッタに小さい電流IBを流すと、それに比例して、コレクタ − エミッタに大きな電流ICが流れる”ことをいいます。
これを式で表すと、以下のようになります。
ここで比例定数「hFE」を“電流増幅率”といいます。hFEはトランジスタによって決まった値を取り、おおむね数十から数百あります。つまり、微弱なベース電流IBによって何倍ものコレクタ電流ICが制御できるのです。
それでは、ここまでの解説を基に【問題13】を解いてみましょう。
【問題13】はマイコンが“1”を出力する、すなわちトランジスタのベースに電圧が加わるときと、マイコンが“0”を出力する、すなわちトランジスタのベース電圧が0Vのときの回路の動作を調べる問題です。
それでは回路の動作を検証してみましょう。
図3において、マイコンの出力ポートから“1”を出力したとき、
- ポートから電源電圧に近い電圧が出力される(例えば、5V)
- トランジスタのベースに電圧が加わりベース電流IBが流れる
- トランジスタにより増幅されたコレクタ電流ICが流れる
- LEDが光る
と回路が動作しLEDが光ります。
また図3において、マイコンの出力ポートから“0”を出力したとき、
- ポートの電位は0Vになる
- トランジスタのベース電圧は0V。つまり、ベース電流IBは流れない
- トランジスタの入力信号はゼロ。つまり、コレクタ電流ICは流れない
- LEDは光らない
と回路が動作しLEDは光りません。
よって、答えは「マイコンの出力ポートから“1(High)”を出力したとき」となります。
次回までの宿題 ― 【問題14】
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