【問題12】 7セグメントLEDの表示回路:完全マスター! 電子回路ドリル(14)
今回の宿題は「7セグメントLEDに“H”と表示させるには、出力ポートからどのような信号を出力しますか」という問題です
【問題11】の解答
【問題11】の回路においてLEDが光るのは出力ポートから1(High)が出力されたときでしょうか? それとも0(Low)が出力されたときでしょうか? という問題でした。
皆さん解けましたか?
解けた方も解けなかった方も答え合わせをして、次項の解説までぜひ読んでみてください。毎週コツコツ問題を解いて、電気・電子回路の基礎知識を身に付けてください。
それでは、解答を発表します!
【問題11】の解説
【問題11】は、マイコンが“1”、すなわち「高い電圧」を出力したときと、“0”、すなわち「低い電圧」を出力したときの回路の動作を調べる問題です。
それでは回路の動作を検証してみましょう。
最初に回路図について説明します。
【問題10】と同様に、【問題11】の回路図はマイコンシステムのLED表示部のみを描いたものです。Vccとはマイコンの電源を表す記号です。つまり、【問題11】の回路は図1のように使われます。
次に、回路の動作について説明します。【問題11】の回路の機能は、図2のような“等価回路”で考えることができます。
マイコンの出力ポートから“1”を出力した場合、すなわち図2のスイッチが(High)側のとき、
- ポートから電源電圧に近い電圧が出力される(例えば、5V)
- LEDの両端の電位差はないのでLEDに電流は流れない
- LEDは光らない
と回路が動作し、LEDは光りません。
マイコンの出力ポートから“0”を出力した場合、、すなわち図2のスイッチが(Low)側のとき、
- ポートの電位は0Vになる
- LEDの両端に電位差があるのでLEDに電流が流れる
- LEDは光る
と回路が動作し、LEDは光ります。
よって、答えは「マイコンの出力ポートから“0”を出力したとき」となります。
さて、前回に引き続きマイコンによるLED表示回路を紹介してきましたが、次に図3に示す2種類のLED表示回路を見てください。図3(a)、(b)はそれぞれどのように使い分けたらよいと思いますか?
ここで、図3(a)、(b)の回路を電気的に比較してみます。
図3(a)の回路は、マイコンの出力ポートから“1”を出力したときにLEDが光る回路です。LEDが光るとき、マイコンの出力ポートから電流が“流れ出し”ます。
図3(b)の回路は、マイコンの出力ポートから“0”を出力したときにLEDが光る回路です。LEDが光るとき、マイコンの出力ポートに電流が“流れ込み”ます。
このように回路の組み方によってマイコンの出力ポートには電流が流れ出したり、流れ込んだりします。
では、どちらの回路を使用すればよいのでしょうか。ルネサステクノロジのH8マイコンを例に調べてみましょう。
表1はH8/3052Fのハードウェアマニュアルから、ポートの“出力許容電流値”を抜粋したものです。H8/3052Fにはポート1、2、3、4、5、6、7、8、9、A、Bの11本のポート(そのうちポート7は入力専用)がありますが、その電気特性はポートによって異なります。
表1の「出力Lowレベル許容電流 IOL」とは、出力ポートから“0”を出力したときの電流、すなわち出力ポートに“流れ込む”電流をいいます。
また、「出力Highレベル許容電流 IOH」とは、出力ポートから“1”を出力したときの電流、すなわち出力ポートから“流れ出す”電流をいいます。
ポート1、2、5、Bはほかのポートより大きい電流を流すことができます。その許容電流値は、IOLが最大10mA、IOHが最大2mAですから、“流れ込み”電流によってLEDを光らせる図3(b)の回路の方がよいといえます。そのほかのポートの許容電流値はIOL、IOHともに最大2mAですのでLEDへの出力はギリギリでしょう。
次回までの宿題 ― 【問題12】
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