モデル駆動型開発にSysML対応ツール登場!:組み込みイベントレポート(2/2 ページ)
組み込みの「いま」が凝縮された展示会、ESEC。新製品・技術から最新業界動向まで、盛りだくさんのESCEで注目すべきは!?
何でもあるあるESEC
ガイオ・テクノロジーは、ソフト技術者向け仮想搬送路シミュレータ「G-VPM」を出展した。同製品は、複合機、プリンタなどの紙搬送路制御ソフト検証用シミュレータで、Microsoft Visio(以下、Visio)で簡単にシミュレーションモデルを開発できるという。また、Visioで定義された2Dイメージの位置情報から3Dのシミュレーションモデルを自動生成することが可能だ。さらに、マイコンシミュレータ(ISS)「System-G」と連携させることでシステムシミュレーションが可能となるという。
関連リンク: | |
---|---|
⇒ | ガイオ・テクノロジー |
⇒ | G-VPM ソフト技術者向け仮想搬送路シミュレータ |
⇒ | ユーザーと育てたシミュレータで手戻り削減 |
東芝ソリューションは、「可視光通信ソリューション」の展示デモを行った。送信機のLEDで音声データを送信し、受信側で受け取った音声データを再生するというもの。
可視光通信とは、その言葉どおり目に見える光でデータ通信を行うことである。LEDなどの可視光素子の点滅を利用して通信を行う。既存の照明などに変調装置を追加するだけで利用できるため、信号機のLEDに渋滞情報や位置情報などのデータを含ませ、その情報を自動車に送信するといったことも可能になるという。同社は、可視光通信コンソーシアムに参加し、標準化活動を行っている。
関連リンク: | |
---|---|
⇒ | 東芝ソリューション |
イーソルは、POSIX仕様準拠のリアルタイムOS「eT-Kernel/POSIX」を出展。同製品は、pthread、シグナル、プロセス間通信(IPC)などをサポートしたPOSIX仕様準拠のリアルタイムOSだ。同製品を使用することで、LinuxやUNIX系OSの資産を再利用することができるという。
説明員は「POSIXアプリケーションとT-Kernelアプリケーションの共存が可能となり、POSIXユーザーとT-Kernelユーザーのどちらにもメリットがある」と話す。同製品のベースは、eT-Kernel/Extendedで、POSIXの機能自体はサブシステムとライブラリとして実装されている。
関連リンク: | |
---|---|
⇒ | イーソル |
⇒ | eT-Kernel/POSIX |
LSI・オブ・ザ・イヤー結果レポート
イベント初日に「第14回 LSI・オブ・ザ・イヤー」の受賞式が行われた(「デバイス部門」「設計環境・開発ツール部門」の2部門で構成)。ここでは、数あるLSI製品・技術、LSIの設計環境・ツールの中から栄誉を勝ち取った受賞製品について紹介する。
デバイス部門でグランプリに輝いたのは、シャープのワンセグ用マルチメディアLSI「LR38888」だ。
同製品は、携帯電話やポータブルテレビなどのバッテリー駆動機器向けに開発された低消費電力(150mW)のワンセグ受信用動画(H.264)/音声(MPEG-2 ACC)デコードLSI(画像・音声出力インターフェイスも内蔵)で、視聴用のファームウェアにより既存システムへの導入も短期間で行えるという。同社は「本製品は、アドオン形式なので新規にワンセグ機能を開発するよりも1、2カ月程度の短縮が可能になる」と説明した。すでに複数の国内携帯電話、ポータブルテレビに採用されているという。今後の開発について同社は「高画質化とコストダウン追求する」と話す。
以下、デバイス部門の受賞製品。
- 準グランプリ:アームの「ARM Cortex-R4F」
- 優秀賞:日本アルテラの「Stratix III FPGAファミリ」
- 優秀賞:日本AMDの「AMD Opteronプロセッサ」「AMD Virtualization」
- 優秀賞:フリースケール・セミコンダクタ・ジャパンの「4Mbit MRAM MR2A16AT35C」
設計環境・開発ツール部門でグランプリ受賞したのは、NECシステムテクノロジーの「CyberWorkBench」だ。
同製品のコンセプトは「ALL-in-C」。すべての回路をC言語で設計(All Modules in C)、合成も検証もCソース(All processes in C)で行うという統合環境だ。これまで、動作合成はデータ処理系に適用して、制御回路はRTLで設計していたが、同製品ではシステムLSIのすべてのデジタル回路設計をC言語で行うことができるという。また、プロパティ検証、アサーション検証などもC言語で行えるとのこと。2006年の発表以来、NECグループ以外の企業でも採用されている。
以下、設計環境・開発ツール部門の受賞製品。
- 準グランプリ:日本ケイデンス・デザイン・システムズの「業界標準CPFをサポートするLow Power設計ソリューション」
- 優秀賞:礎デザインオートメーションの「FP-Fixer」
- 優秀賞:コーウェアの「CoWare Virtual Platform」
- 優秀賞:TSMCジャパン「65nm設計対応DFM準拠デザイン・エコシステム」
関連リンク: | |
---|---|
⇒ | LSI・オブ・ザ・イヤー |
昨年に引き続き、初日から非常に多くの来場者で会場内はあふれかえっていた。主催者(リード エグジビジョン ジャパン)は、同時開催展を含め参加企業1381社、来場者11万626名(前回:9万538名)と発表。とても1日では回り切れない。人もごった返し、非常に疲れる……。しかし、あらゆる新製品、技術などを見て、触れることのできる良い機会であり、組み込み業界のトレンドをウオッチするには格好の場であった。
規模も拡大し、ますます盛り上がりを見せるESEC。来年はどのような新技術、新製品に出会うことができるのであろうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.