情報家電と携帯端末の中身に注目 CEATEC2006:組み込みイベントレポート(2/2 ページ)
毎年10月、アジア最大級の規模で開催されるCEATEC JAPAN。新製品の発表に目を奪われるが、それら製品を支える組み込み技術に注目
DiXiMを追う、DLNA対応のミドルウェア製品
デジタルネットワークステージにある大手家電メーカーのブースでは「ホームネットワーク」「情報家電」「DLNA」といった用語が飛び交っていた。また会場にはDLNAの特設ブースも設置されており、各社がDLNA関連製品の展示・デモを行っていた。その機器のほとんどにデジオンの「DiXiM」が組み込まれていた。早くからDLNAへ取り組んできたデジオンの独走状態にミドルウェア製品各社はどのように対抗していくのか、その動向について紹介する。
アルファシステムズは、DLNA開発キット「alpha Media Link SDK」を2006年10月2日に発表。同製品は、DLNA Network Device Interoperability Guidelines expanded:March 2006に準拠。Linux対応版を2007年2月に発売する。ITRON版も2007年夏ころに発売を予定しているという。タワー型PCとサンヨーのデジカメXactiをDMS(Digital Media Server)、ザウルスSL-C860をDMC(Digital Media Controller)、液晶モニタをDMR(Digital Media Renderer)に見立てて映像再生のデモを行っていた。
同社は、パッケージ販売だけでなく、ユーザーごとのカスタマイズへの対応やサポート部分でDiXiMとの差別化を図っていくと語る。
ACCESSは、組み込み向けに最適化したDLNAソリューション「NetFront Living Connect」をDLNA特設ブースで展示。同製品も、DLNA Network Device Interoperability Guidelines expanded:March 2006に準拠している。Linux対応版を2006年10月末に発売予定。ITRON、BREW、Symbian OSへも順次対応予定とのこと。
同社は、DiXiMが独走状態にあるデジタル家電分野ではなく、携帯電話やデジカメ分野への進出を狙っているという。
また、DLNAの技術面ばかりでなく、コンテンツの充実も重要になっていく。ヤフーは、リビングにあるテレビなどからYahoo! JAPANコンテンツが楽しめる「Yahoo!デジタルホームエンジン」を参考出展した。このエンジンにはDiXiMの技術が採用されており、現在開発中である。Yahoo!デジタルホームエンジンを搭載したPCやNASなどをDLNAガイドラインに対応した機器とつなぐことで、Yahoo! JAPANの各種コンテンツサービスが利用できる。コンテンツの利用料金などは、未定。また、DLNAガイドラインは、DMPで入力したデータをDMSへ転送することが規定されていない。そのためオークションなどへの入札は対応していないという。
Yahoo!デジタルホームエンジンを組み込んだ関連製品として、アイ・オー・データ機器がネットワーク接続対応HDD「HDL-GX」を参考出展した。同製品は、OSがDebian GNU/Linux(カーネル2.6.12)でCPUはARM9コア/400MHz。SambaやApache、DiXiMを組み込み、Yahoo!デジタルホームエンジン向けにチューニングした。HDD容量は160〜750Gbytesに対応。同社によると、価格面を考慮してOSはLinuxにした。また、CPUパワーはそれなりにあるのでLinux以外のOSへの対応も十分にできると語る。
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⇒ | DLNA開発キット「alpha Media Link SDK」を開発 |
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CEATEC実施協議会の発表によると、5日間の総来場者数は19万4267人。目標であった20万人には届かず、2005年の入場者数から5413人減という結果になった。しかしながら、新製品の発表やそれら製品を取り巻く電子部品、ソフトウェアなどの周辺技術にも多く触れることができる良い展示会に仕上がっていた。
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