情報家電と携帯端末の中身に注目 CEATEC2006:組み込みイベントレポート(1/2 ページ)
毎年10月、アジア最大級の規模で開催されるCEATEC JAPAN。新製品の発表に目を奪われるが、それら製品を支える組み込み技術に注目
CEATECで特に目を引いたのは、携帯端末や情報家電などのブース。完成された製品に目を奪われがちだが、これらの製品を内部で支えているのが電子部品やデバイスなどの組み込み技術である。今回のイベントに合わせて発表された組み込み開発関連製品についていくつか紹介する。
携帯端末向け製品の出展が目立つ
電子部品・デバイス&装置ステージでは、複数の機能をワンチップ化したプロセッサやセンサなど、携帯端末向けデバイスの出展が目立っていた。
ルネサステクノロジは、ワンセグ対応のカーナビゲーション機器やポータブルメディアプレーヤ向けアプリケーションプロセッサ「SH-MobileR(SH7722)」を9月28日に発表。CEATECの会場では、同製品によるワンセグ放送受信デモを行っていた。携帯電話向けプロセッサSH-MobileGシリーズからベースバンドインターフェイスを省き、カーナビやポータブルメディアプレーヤ向けに実装しやすい作りにしたという。
CPUコアSH4AL-DSPは最大266MHz、478MIPSで動作。動画処理に関しては、H.264/MPEG-4 AVCに対応した画像処理IP、VPU4(Video Processing Unit 4)を搭載。66MHzでVGAサイズの動画を30fpsでハードウェアエンコード/デコードが可能(注)。その際のメモリ占有量は、10〜20Mbytes程度という。また、500万画素クラスのカメラモジュール用のインターフェイスやSDカードのI/O、さらに最近のカーナビなどで見られる複雑なGUIに対応するための2Dグラフィックスアクセラレータも搭載している。カメラモジュールに関しては、車載カメラなどの処理でも役に立つという。
高機能ながら低消費電力(約160mA)であり、熱の発生も最小限に抑えられている。実際にワンセグ放送を処理しているデモ機のSH-MobileRプロセッサを直接触ってみたが、ほとんど熱を感じなかった。価格は2500円程度で10月からサンプル出荷が始まり、2007年第1四半期には製品化されるという。
また、CEATEC期間中に発表された「SH-MobileG2」は、パネル展示にとどまった。同製品は、ルネサス、NTTドコモ、富士通、三菱電機、シャープの共同開発。HSDPA/W-CDMA方式とGSM/GPRS/EDGE方式に対応したベースバンド(最大3.6Mbits/秒)とアプリケーションプロセッサであるSH-Mobileを統合した製品である。富士通、三菱電機、シャープが共同開発に加わったことで、SH-MobileG2とOS、ミドルウェア、ドライバなどの基本ソフトウェア、電源ICなどの共通デバイスを一体化した。これにより、携帯電話開発の効率化と低コスト化の実現と差別化戦略に注力できるという。2006年9月末からサンプル出荷も開始されている。
三洋半導体は、マイクを使わずに通話が可能となるS.T.F.D(Single Transducer Full Duplex)イヤホンマイクLSI「LC70700W」を出展した。声を発するとき声帯が震え、口から音が出るが、実は耳からも微量の音が漏れている。その音声信号をイヤホン内部にある1枚の振動板でキャッチし、音声データの送受信を同時に処理するというのが、同製品の特徴だ。DSPがエコーキャンセラ処理することで相手側の音声がエコーとして戻るのを防ぎ、クリアな音質を提供するという。実際にデモ機での通話を体験したが、展示場内の騒音を気にすることなくクリアな音質で会話できた。
2007年の第1四半期を目標に製品化し、工場などの騒音環境下での業務機器や携帯電話アクセサリ向けに販売していく。現状の消費電力は40〜50mA。今後、低電力化、高機能化を進め、携帯機器などへの組み込みを視野に入れていくという。サンプル出荷は2006年11月で、価格は3000円。
関連リンク: | |
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⇒ | ルネサステクノロジ |
⇒ | SH-MobileRプレスリリース |
⇒ | SH-MobileG2プレスリリース |
⇒ | 三洋半導体 |
⇒ | LC70700Wプレスリリース |
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