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マルチベンダRDBにつながる「DB2 Everyplace」組み込みデータベースカタログ(5)(3/3 ページ)

組み込みデータベースカタログ第5回は、IBMの組み込みデータベースDB2 Everyplaceを取り上げる。お話を伺ったのは、ソフトウェア事業の中林紀彦氏と猿山悦子氏である。

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DB2 Everyplaceの開発環境と実行環境

開発環境

 DB2 Everyplaceを利用したアプリケーション開発は、業界標準のツールとAPIによって行う。具体的にデータベースに接続する方法としてCLI、ODBC、JDBC、ADO.NET。プロトコルとしてTCP/IPとHTTPまたはHTTPS(Webアプリケーション形式)。データベースにアクセスする手段としてSQL。言語としてJavaやC/C++、Microsoft Visual Basicなどが利用可能である。開発ツールはOS/プラットフォームによって異なり、表3のものが使用可能である(2006年9月現在:対応する開発環境は今後追加・変更される可能性もある。後述のWebサイトを参照)。


DB2 Everyplaceの開発環境
表3 DB2 Everyplaceの開発環境

 最新バージョンのV9.1では、JDBC 3.0 Savepointのサポート、Microsoft .NET Compact Framework 2.0のサポートといった拡張が施されている。


実行環境

 DB2 Everyplaceの最新バージョンV9.1でサポートされるモバイル/組み込みソフトウェア環境は、次のとおり(2006年9月現在:対応する実行環境は今後追加・変更される可能性もある。後述のWebサイトを参照)。

  • Palm OS 5.0および5.2
  • Microsoft Windows Mobile 2003 for Pocket PC、Windows Mobile 2003 for Pocket PC 2nd edition、Windows Mobile 2005 for Pocket PC and Windows CE.NET
  • Symbian OS バージョン7およびSymbian OS バージョン7s
  • QNX Neutrino 6.2
  • Linuxおよび組み込みLinuxカーネル2.4および2.6
  • Win32ベースのプラットフォーム(Windows 2000/XP/2003)DB2 Everyplaceクライアント・データベースおよびCloudscape V10.1データベース

 また、サポートされる同期サーバ環境は、

  • Microsoft Windows Server 2003、Enterprise Version
  • AIX 5.3 Maintenance Level 5300-01 以降(Kornシェル、またはそれと互換性のある環境(必須))
  • Sun Solaris Operating Environment V10(Kornシェル、またはそれと互換性のある環境(必須))
  • Linux on x86(IntelおよびAMD)(Red Hat Enterprise Linux v4.0、SuSe Linux Enterprise Server v9)

となっている。


 現在サポートされていないOS、ハードウェアについてはIBMに対してカスタマイズを依頼する形になるが、猿山氏によれば「カスタマイズの要望には柔軟に対応する姿勢でいます。DB2 Everyplaceの開発元とは密接な関係を構築しており、ユーザーからの要望には迅速に対応するよう最善を尽くします」ということだ。

リッチなGUIを求められるデバイスに勝機

 従来、組み込み機器用に開発されたデータベースは、限られたハードウェアリソースの中で、どれだけ効率的にデータを管理するかに重点が置かれてきた。そういった組み込みデータベース製品に比べ、DB2 Everyplaceはかなり重量級の製品に感じられる。このような特徴を持つデータベースは、どのような場面で活用すればよいのか。DB2 Everyplaceの活用事例を見てみよう。

DB2 Everyplaceを使ったシステム構築事例

 カラオケ端末「キョクNAVI」はDB2 Everyplaceを組み込んだ楽曲検索用の情報端末だ。端末本体には常時数万曲の楽曲データを保存し、頻繁に更新される楽曲データと同期させる必要があった(図3)。

キョクNAVIに採用されたDB2 Everyplaceのシステム構成
図3 キョクNAVIに採用されたDB2 Everyplaceのシステム構成

 また、カラオケボックスを訪れるエンドユーザーに多彩な検索機能を提供するため、人気歌手別にアルバムやシングルをジャケット写真付きで閲覧できる「アルバム・シングル検索」、曲名を入力すると1文字ごとに最もリクエストの多い曲を先に表示する「ベストヒット検索」など、9種類もの検索方法がWindows CE上のGUIに実装されている。

 このキョクNAVIやカーナビのように、多機能でリッチなGUIを搭載した情報端末のニーズは今後さらに増えてくるだろう。そこではハードウェアリソースをギリギリまで削減していくという従来型の組み込みデバイスとは違って、ユーザーの満足度を高めるためなら必要なリソースは搭載するという選択がなされる。こういった条件の下では、DB2 Everyplaceの多機能な特性を生かせるだろう。


筆者略暦
小島 昇

1984年、東京電子専門学校卒業。学生時代から電子工作を趣味として、小学生時代にはアマチュア無線の免許を取得。卒業後、電子機器の設計/開発に従事、産業用の電子回路設計、組み込みのソフトウェア、アナログ(主にOPアンプ関連)、ディジタル(マイコン、PLD)や携帯電話向けセルベースICの開発など、20年の幅広い設計経験を持つ。 2005年からフリーライターとして電子部品の広告、専門書、雑誌の執筆をしている。



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