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さあ君もETロボコン2006に参加しようETロボコン2006へと続く道(1)(1/2 ページ)

組み込み開発の技術スキルを向上させたいなら、迷わずETロボコンに参戦しよう。まずはどんなコンテストなのか、その概要を紹介する

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ETロボコンって何?

 昨年(2005年)秋に開催された組込み総合技術展「ET2005」の会場に足を運んだ方なら、ETロボコン・チャンピオンシップ大会の模様をご覧になったかもしれない。会場の一角に設けられた“レーシングコース”を舞台に、自立走行型ロボットのタイムトライアル・レースを行うという異色のイベントは、ET2005の中でもひときわ注目を集めていた。

 日本国内に存在する数多くの「ロボコン」の中でも、特に組み込み開発者の教育を目的に開催されるものが「ETロボコン」である。その前身となったのは2002年から実施されてきたUMLロボコン。2005年よりETロボコンと名称を変え実施されることになった。

 そもそもなぜETロボコンは生まれたのか。ETロボコン実行副委員長の渡辺登氏は「組み込み開発者の絶対数が不足しているといわれています。一方で、組み込みソフトウェア開発は年々複雑度が増して、より洗練された開発手法、つまりモデリングによる分析・設計手法を身に付けた若手エンジニアの育成が急務となっています。ETロボコンはこのような時代の要請を受けて始まったのですが、堅苦しいお勉強や座学では、組み込み開発者のスキルの底上げは難しいと思います。ETロボコンを通して、モノ作りの面白さ、コンテストに参加することで広がる人的交流などを体験してもらうことで、若手エンジニアに組み込み技術スキルの向上を実現したいと考えています」と語る。

ETロボコン2005チャンピオンシップ大会の模様
写真1 ETロボコン2005チャンピオンシップ大会の模様

ETロボコンは何が楽しいのか

 このコンテストの参加者は、2005年大会では企業・大学・高校・個人を含め53チームに上った。2006年は70チーム前後の参加が見込まれている。年々参加チームが増加しているが、いったい何がこれほど多くの人を引き付けているのだろうか。

ETロボコン実行副委員長 渡辺 登氏
ETロボコン実行副委員長 渡辺 登氏

 まず挙げられるのは、単にロボットを作って競技させる一般のロボコンと違って、ETロボコンはソフトウェアの性能を競う点にあるだろう。しかも、通常のプログラミング・コンテストではなく、「モデリング」を競うところが挑戦心をくすぐる。UMLを使ったモデリングはITシステム開発では徐々に浸透しつつあるが、組み込み開発ではまだ実際の開発に導入している企業は少ないようだ。組み込み開発者としてUMLを使った新しい開発手法に挑戦したいと思っていても、なかなか実開発でその機会に恵まれることは少ない。そんな開発者にとって、ETロボコンはモデリングの経験を積むのに絶好の機会となる。

 そして社外/学外の開発者と交流できることも、コンテスト参加の大きな魅力だ。組み込み開発は独自のハードウェア環境に依存することが多く、自社内の限られたメンバーの中だけで開発が完結してしまい、世間から隔絶された「タコツボ」的な状況に陥りがちだ。ETロボコンに参加することで、異業種の開発者との交流が生まれ、エンジニアとしての視野を広げる絶好の機会となる。7月開催予定の競技会・審査ワークショップは週末の2日間行われ、参加者や審査委員が交流を深める懇親会も用意されている。また、開発期間中には参加者、実行委員によるメーリングリストを通して意見交換が行える。

 モデリング部門の審査委員は、モデル開発の世界で重鎮と呼べるメンバーが参加している。渡辺氏によれば「モデリングに関し有名で優秀なコンサルタントや研究者である審査委員に、自分の設計したモデルを評価してもらえる。これだけでも参加する価値はあるというもの」という。参加者の提出したモデルは、審査委員の手で徹底的に検討される。そしてすべての参加者に対し「どこが良くて、どこにどんな問題があるか」についてきちんとした評価コメントが寄せられる。また、提出された全チームのモデル図も後日、全員に配布されるという。UMLモデリングを学びたいが適当な指導者がいない、勉強したがマスターできていない、という開発者にとっては非常に有効な機会となるだろう。

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