工場を止めずに拡張せよ! パナソニック アビオニクス門真工場の挑戦:モノづくり最前線レポート(1/2 ページ)
パナソニック コネクトグループで機内エンターテインメントシステムなどのアビオニクス事業を手掛けるパナソニック アビオニクスが、拡張を完了した門真工場を報道陣に公開した。同社は「工場での生産を止めずに拡張する」という難題をどのように解決したのだろうか。
パナソニック コネクトグループで機内エンターテインメントシステムなどのアビオニクス事業を手掛けるパナソニック アビオニクスは2026年10月23日、拡張を完了した門真工場(大阪府門真市)の開所式を開催した。今回の拡張により、門真工場の面積は1万m2以上となり、生産スペースは従来比で1.8倍に拡大。基板実装ラインは従来の2本から4本に倍増し、最新製品である「Astrova(アストローバ)」の生産能力が従来比で6倍に増強される。
本稿では、この開所式に合わせて報道陣向けに実施された工場見学を中心にレポートする。
最新製品である「Astrova」の生産強化が喫緊の課題に
パナソニック アビオニクスは、パナソニックグループのラジオ事業を源流に持つ。同事業で培った「軽さ」「小ささ」「信頼性」の技術を生かして1979年に航空機産業に参入し、以降47年間機内エンターテインメント業界をリードしてきた。現在の航空会社の顧客数は200社以上で、サポート拠点も世界の主要空港をカバーする形でグローバルに50以上展開している。パナソニック コネクトグループ 執行役員 ヴァイス・プレジデント アビオニクスビジネスユニット マネージングダイレクターの加藤大地氏は「機内エンターテインメントシステムに関する調査で、2026年にベスト10に入った航空会社は全てわれわれの顧客だ」と語る。
新製品のAstrovaは、4K有機ELディスプレイを全モデルで採用するなどして航空機の乗客が家庭用のコンシューマー機器と同等以上の快適な体験を得られるようにする一方で、航空機メーカーや航空会社が求めるアップグレード対応や軽量化に対応したことで高い評価を得ている。受注累計も50万座席以上と大きく積み上がっており、このAstrovaの生産強化はパナソニック アビオニクスにとって喫緊の課題となっていた。
そこで2024年から、パナソニック アビオニクスの中核工場である門真工場の拡張に向けた構想が始まった。ただし、そこにはさまざまな難問があった。まず、門真工場はパナソニック グループの北門真地区に入居しており、同地区内で工場の建屋を増設/新設する余地はほぼない。つまり、同地区内に今ある建屋のスペースを活用する形で拡張する必要があった。さらに、工場の拡張に合わせて門真工場の生産を止めることも許されないという条件も加わる。加藤氏は「生産しながら拡張するというのが大変だった。2025年から設備の移動を伴う拡張作業を始めたが、1年間で工場の生産を止められる大きな休みはクリスマス〜年末年始、ゴールデンウイーク、夏季休暇の3回しかなく、実装ラインなどはそのタイミングで一気に移動させるなどした」と説明する。
なお、生産増強するのであれば、門真工場から新工場に移転するという手段も考えられる。それでも門真工場を拡張することにこだわった理由は2つある。1つは、パナソニックグループの発祥の地ともいえる門真で生産することへのこだわりだ。「門真工場で生産することは、歴史の重みを感じるし、品質に対する伝統の継承といった意味も大きい」(加藤氏)。もう1つの理由は、新工場に移転した場合、航空機向けシステムの生産に求められるさまざな認証を取得し直さなければならず、その手間が大きいためだ。
では、門真工場の拡張はどのようにして進められたのだろうか。まず、門真工場を拡張するためのスペースになったのが、門真工場に隣接して配置していたオフィススペースである。約300人が働いていたオフィススペースを活用すること、門真工場の敷地をそのまま従来比で1.8倍に拡張することができた。
ただし、ここで問題になるのが代わりのオフィススペースをどこに置くかである。これについては、同じパナソニック コネクトグループ傘下のパナソニック プロジェクター&ディスプレイの協力を得て、同社のオフィススペースに移転することになった。なお、パナソニック プロジェクター&ディスプレイのオフィススペースは、北門真地区内の別スペースに移っている。
この他にも、門真工場の拡張ではパナソニック コネクトグループの協力を得ている。ノートPC「レッツノート」などを生産する神戸工場(神戸市西区)では、ラインの一部を借りて、Astrovaの無線や有線の接続機能を担うペリフェラルバーのモジュールを生産している。また、特例子会社のパナソニック コネクト交野にも一部工程を移管しているという。加藤氏は「今回の拡張は、パナソニック コネクトグループ全体の協力があって初めて実現できたものだ」と強調する。
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