設計意図を3Dモデルに組み込むとは? 寸法と形状に理由を持たせる設計:若手エンジニアのための機械設計入門(22)(1/3 ページ)
3D CADが使えるからといって、必ずしも正しい設計ができるとは限らない。正しく設計するには、機械要素に関するアナログ的な知識が不可欠だ。連載「若手エンジニアのための機械設計入門」では、入門者が押さえておくべき基礎知識を解説する。第22回は、寸法や拘束条件、フィーチャーの構成などを通じて「設計意図」を3Dモデルに組み込み、設計変更にも対応しやすいモデルを作るための考え方を取り上げる。
はじめに
前回は、3D CADで「形を作ること」と「設計すること」は同じではないというお話をしました。3D CADは、設計者が考えたことを形にし、その形が成立するかどうかを確認するための道具です。では、3D CADを使って設計するとは、具体的にどのようなことでしょうか。
今回は、その一つとして「設計意図を3Dモデルに組み込む」ことについて考えてみましょう。「設計意図」という言葉を聞くと、少し難しく感じるかもしれません。しかし、特別なことではありません。
例えば、部品の長さを100mmにした理由や、穴をその位置に配置した理由、部品同士を組み合わせる際に定めた位置関係など、設計者が考え、決めたことが設計意図です。筆者は、3D CADを使う上で、この設計意図を意識することがとても重要だと考えています。
設計意図とは何だろう?
前回、長さ100mm、幅60mm、板厚10mmのプレートを例に取り上げました。
3D CADでこのプレートを作ることは、それほど難しくありません。長方形のスケッチを描き、寸法を入力して10mm押し出せば、基本形状が完成します。
では、このプレートに取り付け穴を2つ設けることにしましょう。例えば、穴径をφ8mm、穴の中心間距離を60mmとします。SOLIDWORKSを例にすると、プレートの穴を開けたい面をスケッチ面として選択し、スケッチに2つの円を描いて、それぞれに寸法を与えます。その後、「押し出しカット」を実行すれば、穴を作成できます。
ここで考えてほしいことがあります。
- なぜ、穴径はφ8mmなのでしょうか
- なぜ、穴の中心間距離は60mmなのでしょうか
- なぜ、その位置に穴を配置したのでしょうか
例えば、穴径は使用するボルトとの関係から決めたのかもしれません。また、穴の中心間距離も、取り付ける相手部品の穴位置に合わせて決めた可能性があります。
つまり、これらの寸法は、それぞれ独立して決められたものではなく、他の部品や機能との関係から決められている可能性があります。設計意図とは、単に寸法の数値を決めることではありません。その寸法や形状を決めた理由、そして他の要素との関係を明確にすることなのです。
寸法の与え方で何が変わるのか?
それでは、もう少し具体的に考えてみましょう。長さ100mmのプレートに、中心間距離60mmの2つの取り付け穴を配置するとします。ここでは、穴をプレートの長手方向に対して対称に配置したいものとします。
このとき、穴位置を決める方法はいくつかあります。例えば、プレートの中心を基準として左右30mmの位置に穴を配置する方法もあれば、プレートの左端から20mmと80mmの位置に、それぞれ穴の中心を配置する方法もあります。どちらも、現在のプレートでは同じ形状になります。
しかし、プレートの長さを100mmから120mmに変更したらどうなるでしょうか。左端を基準に20mmと80mmで穴位置を決めていた場合、寸法をそのままにすれば、穴の位置は左端から変わりません。その結果、プレートの中心に対する穴の配置は非対称になります。
一方、プレートの中心を基準として左右30mmの位置に穴を配置していれば、プレートの長さが変わっても、穴は中心に対して対称な位置関係を維持できます。
もちろん、どちらが正しいというわけではありません。重要なのは、何を基準として、どのような関係を維持したいのかということです。
相手部品との取り付け位置を維持することが重要であれば、端面からの寸法を基準とする方が適切な場合もあります。一方、プレートの中心に対する対称性を維持したいのであれば、中心を基準とした寸法の与え方が適しているでしょう。このように、同じ形状であっても、寸法の与え方によって設計変更時の振る舞いは変わるのです。
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