AI導入から成果創出へ デル・テクノロジーズ新社長が示す日本市場の事業戦略:メカ設計ニュース(1/3 ページ)
デル・テクノロジーズは、2026年8月に代表取締役社長に就任したジョン・ロボトム氏の記者会見を開催した。ロボトム氏は、日本企業のAI活用が導入段階から成果創出へと移行しつつあるとの認識を示し、AIインフラやデータ基盤の整備、人材育成、パートナーとの共創を通じて、日本企業のAI活用を支援する方針を明らかにした。
デル・テクノロジーズは2026年10月27日、同年8月17日付で代表取締役社長に就任したJon Robottom(ジョン・ロボトム)氏の社長就任記者会見を開催し、日本市場における今後の事業戦略について説明した。
ロボトム氏はテクノロジー業界で25年以上のキャリアを持ち、以前はデル日本法人に7年以上在籍し、エンタープライズ向けのデータセンター事業やサービス事業を担当した。その後、日本マイクロソフトでクラウドやソフトウェア、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズでエンタープライズインフラ事業を経験。直近では日本AMDの代表取締役社長を務め、半導体やAI(人工知能)コンピューティングの分野に携わった。
約10年ぶりにデル・テクノロジーズへ復帰したロボトム氏は、現在、多くの顧客企業やパートナー企業と対話を重ねる中で、日本市場におけるAIへの期待の大きさをあらためて実感する一方、「AIをどのように導入し、ビジネスの成長につなげていくかという面では、まだ課題が残っている」(ロボトム氏)と指摘する。
日本企業のAI活用は導入段階から成果創出へ
日本企業におけるAI活用の状況について、ロボトム氏は同日発表した調査「Modern Enterprise Readiness Study 2026」の結果を交えて紹介した。同調査は2026年6月に、世界35カ国のビジネスおよびIT意思決定者2950人を対象に実施したもので、日本からは150人が回答している(調査対象は従業員100人以上の組織)。
同調査によると、日本企業のうち、生成AI活用の初期〜中期段階を脱した企業の割合は、2025年の35%から2026年には58%へと上昇。アジア太平洋/日本/中国地域(以下、APJC)全体でも、同じ割合が51%から61%に増加している。
一方、日本企業の72%が、実証されたビジネス成果と明確なリスク管理計画がなければ、新たなAI施策を進めないと回答。APJC全体でも同じ割合となっている。
これらの結果を踏まえ、ロボトム氏は日本企業のAI活用がAPJC全体の水準に近づいていると評価した上で、「PoC(概念実証)を実施して終わりというケースはまだ多いが、日本でもAPJC全体でも、AIの導入だけでなく成果を重視する段階に移りつつある。AI活用によって具体的にどのようなビジネス効果が得られるのかが非常に重要だ」と述べた。
また、優先するAI活用領域に関しては、日本では「データ分析/意思決定支援」が55%で最も高く、「セキュリティ/脅威検知」が48%、「IT自動化/インフラ運用」が44%と続く。一方、APJC全体では「IT自動化/インフラ運用」が51%で最も高く、「従業員の生産性とナレッジワーク」と「データ分析/意思決定支援」がそれぞれ49%となった。
AI活用の課題は「関心」ではなく「実行力」
AI活用が進展する一方、企業が成果を生み出すためには解決すべき課題も残されているという。ロボトム氏が主な課題として挙げたのが、「Trusted AI(信頼できるAI)」「AIスキルと人材」「投資と成果」「AIインフラ」の4つだ。
Trusted AIに関しては、セキュリティ、コンプライアンス、プライバシーへの対応に加え、AIが利用するデータの管理や、AIによって生成された結果をどこまで信頼できるかが重要になる。調査では、日本企業の47%がセキュリティ、コンプライアンス、プライバシーへの懸念を課題として挙げている。
AI人材の不足も課題の一つだ。日本企業の38%がAI関連のスキルや人材の不足を挙げており、APJC全体の33%を上回った。AI関連のエンジニアや営業人材などの確保も容易ではなく、企業がAI活用を推進する上での制約になっているという。
投資と成果については、AI導入における投資対効果(ROI)を見通すことが難しく、期待する成果が明確でなければ投資判断を下しにくいという問題がある。
AIインフラについても、新たなシステムを導入するだけでは不十分だという。ロボトム氏は「GPUやCPUを購入してAIプラットフォームを構築しても、実際にどのデータを、どのような形で利用するのか、AIにどう学習させ、業務プロセスをエージェント型AIにどうつなげていくのかまで考える必要がある」と指摘した。
これらの課題を踏まえ、ロボトム氏は「日本のお客さまは、AIを何とか活用しなければならないと考え、実際に取り組みを進めている。重要なのは実行力であり、それをどこまで高められるかだ」と強く訴える。
さらにロボトム氏は、総務省と経済産業省が公表している「AI事業者ガイドライン」についても触れ、AIの開発や利用に当たっては、人間中心、安全性、公平性、透明性、プライバシー保護などの考え方を踏まえる必要があるとした。
併せて、情報処理推進機構(IPA)の「DX動向2026」の結果も紹介。同調査によると、AI導入企業の91.6%が業務効率化や迅速化を実感している一方、売上高や利益の向上を実感している企業は3.9%にとどまっている。
この結果を踏まえ、ロボトム氏は生成AIの活用例として「Microsoft Copilot」による資料作成や文章の要約などを挙げた上で、今後は創薬やAIロボットなど、より高度な領域へと活用が広がっていくとの見方を示した。
また、AI活用を売上高や利益の向上につなげるためには、Trusted AIの構築が重要になると指摘。日本企業の慎重な姿勢にも触れ、「AIを人による確認なしに自律的に動かす段階へ進むには、企業自身がリスクとメリットを見極め、AIの信頼性を確保することが重要だ」(ロボトム氏)と強調した。
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