個別受注製品におけるプロダクト損益とサービスBOM/メンテナンスBOM:モノづくり革新のためのPLMと原価企画(9)(1/2 ページ)
本連載では“品質”と“コスト”を両立したモノづくりを実現するDX戦略を解説する。第9回は、個別受注製品におけるプロダクト損益の考え方と、保守/サービスを支えるサービスBOM、メンテナンスBOMの役割や違いについて取り上げる。
前回は、企画量産製品におけるプロダクト損益の考え方と、それに近い概念である原価企画との違いを併せて解説した。今回は、個別受注製品におけるプロダクト損益について触れたい。
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保守/サービスでもうけるためのプロダクト損益
個別受注製品のビジネスは、保守/サービスでもうける構造にシフトしている。そのため、プロダクト損益の重要性は年々増しており、それに伴ってサービスBOMやメンテナンスBOMも欠かせなくなってきた。
個別受注製品の場合は、案件単位で引き合いがあり、見積設計や受注可否の判断を経て、受注案件としての活動が始まる。このように、そもそも案件単位の管理が定着しているはずだ。原価管理においても、個別原価計算によって製番単位(製造指図単位)で原価が集計されている。
そのため、図1の[1][2](受注から検収まで)は、製番単位で管理されていることが多い。現地据え付け/工事の比率が高い製品では、[1]と[2]を別製番で管理している企業も一部見掛けるが、多くは同一製番で一気通貫の管理がなされているのだ。
しかし、[3]に問題がある。[3]には、保守/サービス/不具合対応/改造/延命など、検収後のさまざまな対応が含まれるが、それらは本体とは別製番で管理されていることが多い。そこで一気通貫性が失われてしまう。さらに、保守/サービスは、本体を扱う事業部とは別の事業部や子会社が担っていることもあり、組織の壁も存在する。
そうした壁を打破する意味でも、[1][2][3]を一気通貫で管理する「プロダクト損益」が必要といえる。保守/サービスでもうける時代といわれる中で、[1][2]と[3]をバラバラに管理していては、最適な意思決定ができていない可能性がある。
一気通貫性を確保できていれば、「保守/サービスで利益を得られるのであれば、本体は薄利でもいい」「本体は赤字でもいい。その分、提案型保守、診断サービス、予備品販売、延命対応などで積極的に利益を得にいくのだ」といった意思決定も可能になる。もはや、原価に十分な利益を乗せても売れていた昔のような時代ではない。どんどん薄利になってきている。本体と保守/サービスを分断した状態では、大胆なビジネスモデルの転換もできないのだ。
顧客側の視点から見ても、この流れを理解できる。本体は金額が大きく、投資案件(固定資産案件)となるため、経営層の目にとまりやすく、少しでも減額したいという力が働いてしまう。一方、保守/サービスは経費案件になるものも多く、経営層の目にとまりにくいため、金払いが良いという側面もある。こうした点からも、本体は薄利にし、保守/サービスでもうけるという考え方につながる。
こうした収益構造の変化と併せて考えたいのが、サブスクリプション化である。一昔前に、CADなどのITサービスは、ライセンス料と保守料を支払う体系からサブスクリプションへと移行した。同様に、プリンタなどにもその傾向が見られる。本体機器代とトナーなどの交換部品代で収益を得る従来の形から、本体機器代を無料にし、サブスクリプション料金で収益を得る形へと移行しつつあるのだ。
このような流れは、さまざまな製品に広がっていくと思われる。多様な収益構造に対応するためにも、[1][2][3](受注〜検収〜保守/サービス)を一気通貫で管理できる仕組みは欠かせない。
さらに一歩進めると、より広い意味でのプロダクト損益も考える必要がある。個別受注製品といえども、ベースとなる機種については企画開発を行っている。では、その機種開発([4])や、その後の改良/派生開発に投じた費用の回収状況を管理できているかというと、できていない企業の方が多い(図2)。まずは個別案件のプロダクト損益の管理を目指せばよいが、さらに進んだ段階では、機種開発とその後の改良/派生開発も含めたプロダクト損益の管理が重要になると考える。
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