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「保守的な日本の現場に合う」導入2500時間の壁を壊す倉庫AI、IFS Softeonの真価:サプライチェーン改革(1/2 ページ)

IFSとIFS Softeonは、倉庫向けAIの新機能「Fulfillment Flow」を発表した。6つの現場特化型AIエージェントが連携し、「部分最適のしわ寄せ」を解消する。同社 最高収益責任者(CRO)のメイリー氏へのインタビューを交え、あえてシステムを統合しない独自戦略や、保守的な日本の現場に適合するAIの姿と今後の展望をひもとく。

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 IFSは、フラグシップカンファレンス「IFS Unleashed 2026」(2026年10月12〜16日[現地時間]、米国フロリダ州オーランド)において、IFS Softeon(ソフテオン)の新たなAI(人工知能)機能「Fulfillment Flow」を発表した。

 IFSは2025年12月に、倉庫管理システム(WMS)や倉庫実行システム(WES)、分散型受注管理システムなどを展開する、米国Softeonの買収を完了し、新組織のIFS Softeonを設立した。Softeonのプラットフォームは、これまでにソニーやデンソーといった日本の製造業における倉庫オペレーションの基盤として採用された実績を持つ。

 深刻な人材不足やサプライチェーンの複雑化が叫ばれる中、IFS SofteonはIFSが推し進める産業用AIと、Softeonが長年培ってきた倉庫内システムの深い専門知見を融合し、現場の状況を的確に捉えて業務の全体最適を図る実践的なソリューションを展開していく考えだ。IFS Softeonの経営幹部へのインタビューを交えて、新機能が解決する現場の課題、そして今後の日本市場に向けた展開を聞く。

IFS Softeon CROのパトリック・メイリー氏
IFS Softeon CROのパトリック・メイリー氏

IFS製品とは完全には統合しない、独自アプローチで受注高225%増

 これまで多くの企業では、経営層が用いるERPと、現場が用いるWMSが分断されたまま運用されており、サプライチェーンにおける可視性の欠如が課題となっていた。IFSは自社の産業用AIを基盤としてこれらのシステムを融合し、経営層の戦略的な意思決定から倉庫現場における物理的な実行業務までをエンドツーエンドで一元的に可視化することを目指している。

 IFSがこのようにデータや価値の“融合”を図る一方で、IFS Softeonはあえて製品やシステムをIFSのシステムに完全に統合しない、独自のアプローチを採っている。IFS Softeon 最高収益責任者(CRO)のパトリック・メイリー氏は「大企業が小規模なソフトウェア企業を買収して自社システムに完全に統合してしまうと、WMS市場に特化したアジリティ(俊敏性)やイノベーションが失われてしまうことが多いからだ」と明かす。

 IFS本体のERPや全社向けAI「IFS Intelligence」とは切り離し、SofteonのWMSや現場特化型のソリューションを独立した製品として展開する。製品としての独立性を保つことで、他社のERPを使用しているサードパーティーロジスティクス(3PL)や航空宇宙産業といった独自の市場に対しても、柔軟にWMSを提供できる強みを維持している。

 この戦略とIFSのグローバル販売網がかみ合い、IFS Softeonは2026年度に前年比で225%の受注成長を記録した。推定年間経常収益も前年比31%の成長を見込んでおり、新規契約の半数以上を米国以外の顧客が占めるなど、グローバルでの展開が進んでいる状況だ。

IFS Softeonの2026年度実績
IFS Softeonの2026年度実績 出所:IFS Softeon[クリックで拡大]

Fulfillment Flow:入荷や保管など6つのデジタルワーカーが自律行動

 ここからは、IFS Softeon CEOのジム・ホフリン氏と同 最高技術責任者(CTO)のマーク・フラリック氏がイベント会期中に行ったセッションを基に、新機能「Fulfillment Flow」の詳細について解説する。

 現代のフルフィルメント業務では、注文受付から、梱包、発送、代金決済、アフターサポートに至るまで、商品や人員、設備に関する膨大なデータが生成されている。これまでの倉庫向けAIは、補充や計画といった一部の領域だけを単独で最適化する傾向があった。しかしこのアプローチでは、施設内の他の業務にしわ寄せが及び、かえって現場に混乱を引き起こす問題が生じていた。ホフリン氏は「組織の限界を決めているのは才能や資本ではなく、システムである。限界のない産業の時代は、倉庫の現場から始まる」と、既存システムが抱える制約の打破を訴えた。

 こうした「部分最適によるしわ寄せ」を解消するのが、今回発表された新機能のFulfillment Flowである。システムの中核として、入荷、ウエーブ管理、人員管理、自動化、保管(補充)、出荷という6つの領域に特化したAIエージェント「デジタルワーカー」を配置する。

6つのデジタルワーカーが配置されている
6つのデジタルワーカーが配置されている 出所:IFS Softeon[クリックで拡大]

 各デジタルワーカーは、「施設」「リアルタイムの業務状況」「隣接工程」「拠点目標」「人員」「自動化設備」という6つの共通するインテリジェンスの柱を基盤に構築されている。これらは単独で動くのではなく、把握した情報を中央のオペレーションエージェントと共有し、オペレーション全体を改善するという共通目的を持って行動する。自らの担当業務を遂行しつつ、隣接工程への影響も考慮して判断を下すことで、施設全体のバランスを保つ設計だ。フラリック氏は、「同じ人員リソースのままであっても、スループット(処理能力)が5%から10%向上すると見込んでいる」と説明した。

6つの共通するインテリジェンスの柱を基盤に構築
6つの共通するインテリジェンスの柱を基盤に構築 出所:IFS Softeon[クリックで拡大]

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