「フィジカルAI」でどう社会を変えるのか――KDDIとRLWRLDが挑む共創の舞台裏:製造ITニュース(1/2 ページ)
韓国発フィジカルAI(人工知能)スタートアップRLWRLD(リアルワールド)の日本法人は、東京都内で「フィジカルAI勉強会/取材会」を開催し、KDDIとの事業取り組みの詳細やスタートアップと大企業の共創時に必要な考え方などについて説明した。
韓国発フィジカルAI(人工知能)スタートアップRLWRLD(リアルワールド)の日本法人は2026年9月18日、東京都内で「フィジカルAI勉強会/取材会」を開き、KDDIとの事業取り組みの詳細について説明した。
フィジカルAIがもたらす変革と国家プロジェクト「GENIAC」
日本の産業現場や物流、小売業界において、深刻化する人手不足への対抗策としてフィジカルAIが注目を集めている。画面内の情報処理にとどまらず、物理世界でロボットを動かし作業を代行するこの技術は、LLM(大規模言語モデル)の次に訪れる巨額の社会的インパクトとして期待されている。
こうした背景の下、経済産業省とNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が推進する生成AI開発支援プロジェクト「GENIAC(Generative AI Accelerator Challenge)」において、KDDIが提案するプロジェクト「小売物流業等の現場業務を代替するロボット基盤モデルの研究開発」が2026年9月9日に採択された。同取り組みでは同社の複数のパートナー企業と連携して、国内の物流/小売現場に特化したオープンエコシステムの構築を目指している。このプロジェクトにおいて、ロボット基盤モデルを提供しているのがリアルワールドだ。
同プロジェクトでは、「ロボットの学習データを効率的に収集する技術」と「実際の現場で機能する高精度な基盤モデルの開発」という2点が核となる。KDDI オープンイノベーション推進本部の貞光雅徳氏は「データ収集においては、従来の遠隔操作だけでなく、人間がカメラ付き眼鏡を装着して1人称視点の映像を記録する『エゴセントリック』アプローチを採用している」と語る。
さらに、KDDIグループのコンビニエンスストアであるローソンの店舗などから得られる現場データを直接学習させることで、精度と処理速度を兼ね備えたAIモデルの構築を進めている。「得られた成果やハードウェア連携のノウハウは外部へ広く公開することで、日本全体のロボット市場を活性化するオープンなエコシステムを目指している」(貞光氏)。
リアルワールドへの出資からPoCまでの流れ 両社の歩み
両者の連携は、2025年4月にKDDIがCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)を通じてリアルワールドへ出資したことから始まった。同社は、AIを専門とする韓国の大学の教授らによる強固な技術基盤と、コンサルティング出身者による高度なビジネス推進力を兼ね備えたまれなスタートアップとして高く評価され、同月内にローソンの店舗視察や現場の見学が始まったという。
その後、両者は同年8月にローソンのプライベートブランド商品を対象とした小規模なPoC(概念実証)を実施し、同年12月には店舗シミュレーションデータの収集PoCへとステップを進めている。この一連の現場連携と並行して、リアルワールド自身もグローバルで急速な組織拡大を遂げた。
2025年4月時点で20人規模だったリアルワールドの体制は、現在では日本や米国/韓国を合わせて126人規模へと成長した。宅配のソーティングやホテル客室の清掃といった多様な現場でデータ収集とファインチューニングを重ね、実用的なモデル性能の向上を証明してきた。
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