帰納型の「情報の流れ分析法」と演繹型の「ワークデザイン法」:現場改善を定量化する分析手法とは(21)(2/4 ページ)
工場の現場改善を定量化する科学的アプローチを可能にする手法を学習する本連載。これまで2回にわたって紹介してきた事務的業務の分析手法のシリーズの最終回として、今回は「情報の流れ分析法」について説明する。また、帰納型分析法の「情報の流れ分析法」に対して、演繹型分析法となる「ワークデザイン法」も取り上げる。
3.情報の流れ分析における「可視化」
可視化(見える化)は、企業活動で目に見えない情報や業務の流れ、問題点などを誰が見てもすぐ分かるようにグラフや図で視覚化することで、不具合の発見から改善に至るまでを明らかにすることです。単に、データを可視化するのではなく、見て気付き、すぐに改善行動に至るところまでの全体を意味しています。
3.1 可視化の目的
可視化という表現は広く使われるようになっていますが、その目的として最も大切なのは、誰でも同じ品質で仕事ができるように属人化を排除することです。見えづらい業務の進捗や負荷量、業務内容などの情報を明確に把握できれば、問題意識の共有、問題解決の促進、組織活動の活性化、具体的なデータに基づいた意思決定などが可能になります。
問題発見のための可視化は、その目的は当然のことながら問題解決にあります。問題発見のためには、作業の標準化や在庫量の可視化などが効果的です。
また、先に挙げた可視化の目的は、複数の部門に横断的に共通した項目でもあります。これらの企業の仕組みの中心部分を成している重要な要素が「情報の流れ」です。この情報の流れを可視化することが、結局は前述の可視化の目的を達成するための手段となります。具体的には以下の項目が考えられます。
(1)問題点の早期発見
一言で言えば、正常と異常の差が一目で分かるようにすることです。つまり、異常や問題点を即座に発見でき、行動につながる仕組み作りです。
例えば、業務の進捗や在庫状況をグラフで共有しておけば、どの工程で作業が遅れているか、どこで無駄が発生しているかなどが即座に分かり、問題が大きくなる前に手を打つことができます。また、作業においては標準化が最も効果的です。
(2)認識の共有と属人化の排除
多くの現場では熟練者や年配者しか知らないノウハウや、担当者だけが承知している進捗状況などの実態が多く見受けられます。これらをマニュアル化や進度管理表で共有することで、チーム全員が同じ状況を把握できるようになります。
(3)意思決定のスピードアップ
状況がリアルタイムで数値としてグラフ化されていれば、より把握しやすくなり、経営者や管理監督者はいち早く、その場ですぐに最適な意思決定が可能となります。
3.2 可視化の利用に必要な要素
可視化を経営管理や現場管理の一つの手段とするためには、目的と対象、方法や活用のルールを明確にしておく必要があります。例えば、可視化のために作成した図表類も、それらの活用ルールが不明確なままだと単に掲示されているだけという状態になってしまいます。従って、可視化を効果的に利用していくために必要な要素としては、表2に挙げる項目をあらかじめ明確にしておく必要があります。
3.3 製造業における可視化の対象業務
製造業における可視化を業務別に分類した例を表3に示しました。業務の可視化の関係者は、顧客、経営者、管理監督者、作業者、協力会社が考えられますが、情報を利用する対象者の階層によって可視化の範囲や目的、データの精粗が異なることは説明するまでもありませんが、難しい側面が多々あることも事実です。
3.4 可視化を実施する際の留意点
「可視化」の効果としては、ボトルネックの早期発見、無駄の特定、意思決定のスピードアップなどにより、生産性や従業員のモチベーション向上などが挙げられることは前述の通りです。「可視化」の実施に当たっては、以下の項目に留意して進めなければなりません。
- 情報を出し過ぎると実態が見えにくくなる恐れがある
⇒見せる項目と内容を絞る、事実を重視する - 情報を見せるだけの状態になり、行動につながらない場合がある
⇒悪い情報をタイムリーに、シンプルに見せること - 情報収集やデータのまとめなどにより、現場の負担が増える
⇒できるだけ手間をかけずに、自動化を進めていくことが重要
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