売るのはパーティションではなく「間」、コマニーに見るモノづくり企業の「X」:製造業“X”探訪(7)コマニー(1/4 ページ)
多くの製造業がDXで十分な成果が得られていない中、あらためてDXの「X」の重要性に注目が集まっている。本連載では、「製造業X」として注目を集めている先進企業の実像に迫るとともに、必要な考え方や取り組みについて構造的に解き明かしていく。第7回は、パーティションのモノ売りから脱却し、「間づくり」というコンセプトを掲げ、空間提案で躍進するコマニーを取り上げる。
製造業DX(デジタルトランスフォーメーション)において、本質的な「X(ビジネス変革)」の在り方が問い直される中、成功している製造業はどのような取り組みを進めているのだろうか――。第7回はパーティションのモノ売りから「間づくり」コンセプトの下、空間提案へとシフトし、新たな市場開拓や新価値創造で躍進するコマニーを紹介する。
本連載の趣旨
前石川県副知事で政策研究大学院大学 特任教授の西垣淳子氏と、早稲田大学 研究戦略センター 教授の楠和浩氏が「製造業X」を体現している企業や現場を訪問し、次世代を担う製造業の変革の姿を紹介する。また、その姿がインダストリー4.0などで示された参照モデルの中で、どういう位置付けを担うのかを示しつつ、成功のポイントについて議論する。
「間」という空間を提供するモノづくり企業
ここ数年、働きやすい職場環境づくりや、デジタルの活用によるオフィス改革など、職場の空間の在り方が変わり始めている。個々の快適な空間を柔軟に実現するために隠れた立役者となっているのが、部屋の間仕切りである「パーティション」の存在だ。業界団体である日本パーティション工業会(理事長は塚本幹雄[コマニー 代表取締役会長])によると、間仕切り(パーティション)の販売金額はコロナ禍以降、増加が続いており、2023年以降はコロナ禍前の2019年の規模を超えている。
そのパーティション専業メーカーの大手2社が石川県小松市に集まっている。コマニーと小松ウオール工業だ。そこに興味を持ち、2023年に「間づくり研究所」を開設し、「間」というコンセプトで新価値創造を進めるコマニーに話を伺った。
コマニーは、1961年に「小松キャビネット株式会社」という名前で創業されたパーティション専業メーカーである。当時、繊維業の盛んな小松市において、事業の多角化に挑もうと、スチール製のキャビネットやロッカーなどの製造/販売を始めた。しかし、主な消費地(東京)に運ぶのは輸送コストがかさむため事業方針を転換し、同じ設備や技術を使い回せるパーティション(間仕切り)に主力製品を移した。それが、都心のオフィス建設ラッシュの勢いに乗り、大きな成長を遂げたという。
国内の間仕切りの市場規模は2025年度で1694億円だとされている(日本パーティション工業会調べ)。そのうち、市場シェアの半分を小松市にあるパーティションの専業メーカー2社(コマニー、小松ウオール工業)が占め、残り半分を、事務機器メーカー(イトーキ、オカムラ、コクヨなど)やシャッターメーカー(三和シヤッター工業、文化シヤッターなど)が占める。
工業会の製品分類としては、可動間仕切り、移動間仕切り、壁面化粧パネル、学校間仕切りに加え、トイレブースがある。ここで、「可動」とは、壁と違い建物に後から備え付けるので、そのように呼ばれているが、実際には、設置した後は工事なしでは動かせない製品である。それに対し、「移動」は会議室の大きさなどを変えるために、日常利用において、移動させることで部屋の仕切り場所を変えられる製品である。
一方、コマニーは同社Webサイトで、「商品種別」「市場空間」「課題」の3つに分類した提案を行っている。さらに「市場空間」については「オフィス」「工場」「病院/福祉」「学校」「公共/商業施設」に分けている。説明を伺うと、施設の種類により業界内の住み分けもある程度生まれており、そうした中、さまざまなパーティションを作り続けている。
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