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「必要とされるモノづくり」を次の世代へ 未来は予測するものではなくつくるもの必要とされるモノづくりの追求(6)(1/3 ページ)

連載「必要とされるモノづくりの追求」では、研究開発と実際の現場/ユーザーとの間に生じるギャップを整理しながら、技術の価値をどこに置くべきかを問い直し、必要とされるモノづくりの在り方を考察する。最終回となる第6回では、学生や企業、自治体、地域との連携を通じて、「必要とされるモノづくり」を次の世代へつないでいくための取り組みを紹介する。

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 これまで本コラムでは、「必要とされるモノづくり」とは何かについて、さまざまな観点から考えてきました。

 第1〜4回では、優れた技術が必ずしも現場で使われるとは限らない理由を出発点に、現場を理解することの難しさ、専門分野を超えた多角的な視点の必要性、そして本質的な課題を見つけるための研究教育の在り方について考えてきました。第5回では、私たちの研究室で大切にしている「モノづくり×研究」について紹介しました。

 必要とされるモノづくりにおいて何より重要なのは、現場で本当に解決すべき課題を見極めることです。その上で、常に多角的な視点を持ちながら、実際に手を動かして形にし、社会との接点の中で評価と改善を重ねていく必要があります。そして、大学教員である私には、こうした考え方やモノづくりの在り方を学生たちに伝え、次の世代へつないでいく使命があると感じています。

 最終回となる今回は、「必要とされるモノづくり」をどのように次の世代へつないでいくのかについて、私たちが現在取り組んでいる活動を紹介しながら考えたいと思います。

⇒ 連載バックナンバーはこちら

未来について考える機会をつくりたい

 私には、以前から抱いてきた思いがあります。

学生たちに未来について考えてほしい。

日本の将来を現実的に考えてほしい。

 近年、生成AI(人工知能)やロボットをはじめとする技術は、かつてない速さで進歩しています。一方、日本は人口減少や少子高齢化、人手不足、地域産業の衰退、国際競争力や研究力の低下など、さまざまな課題に直面しています。これから社会へ出る学生や子どもたちは、私たちがこれまで経験したことのない環境の中で生活していかなければなりません。

 しかし、大学では専門分野について深く学ぶ機会はあっても、未来の社会について考え、「その未来に対して今の自分は何をすべきか」を考える機会は、それほど多くないのが実情です。

 もちろん、未来を正確に予測することは不可能です。技術、経済、国際情勢、環境、価値観など、未来を左右する要素はあまりにも多く存在します。

 それでも、未来について考えることには意味があります。

 なぜなら、未来を考えることは、現在を見つめ直すことでもあるからです。未来の社会を想像するためには、今の社会で何が起きているのか、どのような技術が生まれ、何が課題となっているのかを調べなければなりません。さらに、「自分はどのような社会で生きたいのか」「その社会の実現に向けて、自分には何ができるのか」を考えることにもつながります。

 未来は、誰かが用意してくれるものではありません。私たち一人一人の選択や行動の積み重ねによって、少しずつ形づくられていくものです。

「学生未来プロジェクト」の始まり

 こうした思いから、私たちの研究室では、ゼミナール(研究室内で行う授業)の一環として、研究活動とは別に、

20年後の未来を予測し、その未来に対して今の自分は何を行うべきか?

というテーマで、学生たちにプレゼンテーションを行ってもらっています。

 学生が取り上げるテーマは、AI、ロボット、鉄道、医療機器、センシング技術、スポーツ、建築、地域格差、中小企業、研究開発など、何でも構いません。重要なのは、未来の技術を紹介することだけではなく、社会がどのように変化し、そこにどのような課題や可能性があり、その中で自分は何をすべきなのかまで考えることです。

 この取り組みは、当初、研究室内だけで実施していました。しかし、学生たちの発表は、私が想像していた以上にすばらしいものでした。社会の現状を調べ、自分なりに未来を考え、その未来に対する自分の考えを言葉にする姿を見て、ぜひ多くの方々にも聞いていただきたいと思うようになったのです。

 そこで、自治体や企業の皆さまにもご協力いただき、「学生未来プロジェクトプレゼンテーション大会」として、研究室の外で開催することにしました。

 第1回は、相模原市の主催により、JR東海のイノベーション創出拠点「FUN+TECH LABO」と共同で開催しました。学生たちは企業や自治体の方々を前に発表し、質疑応答を通じて、実社会の視点からさまざまな意見をいただきました。参加した学生からは、「将来の自分を具体的に想像したことで目標が明確になった」「企業の方々からビジネスの視点を学び、視野が広がった」といった感想も寄せられました。

 第2回は、理系学生のキャリア支援を行うMONOWEBとともに、神奈川県のロボット企業交流拠点「ロボリンク」で開催しました。明治大学の学生だけでなく、他大学の学生にも参加していただき、企業の方々との質疑応答や活発な意見交換が行われました。学生が一方的に発表するのではなく、異なる世代や立場の方々と未来について議論する場へと、少しずつ広がっていったのです。

 そして2026年9月18日には、川崎市産業振興財団の主催により、川崎市産業振興会館で第3回を開催する予定です。年々規模が大きくなってきましたが、学生が考えた未来を発表するだけでなく、学生、大学、企業、自治体が直接意見を交わし、新しい関係や取り組みが生まれる場にしたいと考えています。

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