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「普通の眼鏡」がAI端末になる――スマートグラス市場の現在地と次の進化組み込みイベントレポート(1/3 ページ)

スマートグラスは、業務用の特殊機器から「日常生活で身に着けるAI端末」へと変貌を遂げつつある。「スマートグラスサミット2026 Summer」の基調講演では、明らかにフェーズが変わったスマートグラス市場の動向や今後の進化の方向性などが語られた。

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 2026年7月16日、グラングリーン大阪のJAM BASEで「スマートグラスサミット2026 Summer」が開催された。主催は、神戸大学大学院工学研究科 教授の塚本昌彦氏が理事長を務めるNPO法人のウェアラブルコンピュータ研究開発機構(チームつかもと)だ。

 長年、ウェアラブル研究の第一線に立ってきた同機構が提示したのは、スマートグラスが業務用の特殊機器から「日常生活で身に着けるAI端末」へと変貌を遂げつつあるリアルな現在地だった。

 本稿では、同イベントの基調講演を基に、ウェアラブル市場の急変と同デバイスが目指す未来をレポートする。

「スマートグラスサミット2026 Summer」の基調講演に登壇した神戸大学大学院工学研究科 教授の塚本昌彦氏(左)と奈良先端科学技術大学院大学 教授の清川清氏(右)
「スマートグラスサミット2026 Summer」の基調講演に登壇した神戸大学大学院工学研究科 教授の塚本昌彦氏(左)と奈良先端科学技術大学院大学 教授の清川清氏(右)[クリックで拡大]

今までとは明らかにフェーズが変わったスマートグラス市場

神戸大学大学院工学研究科 教授の塚本昌彦氏
神戸大学大学院工学研究科 教授の塚本昌彦氏

 スマートグラスは今、これまでの延長線上にはない新しいフェーズへと突入している。

「ようやく市場が立ち上がってきた」

 講演の冒頭、塚本氏は力強くこう語った。20年以上にわたりウェアラブルデバイスの研究開発と普及活動に取り組んできた第一人者にとって、現在の市場の動きは明らかにこれまでと異なるという。

 2026年第1四半期のインテリジェントアイウェア市場は、前年同期比で83%増加した。中でも目を引くのがカテゴリー別の変化だ。VR(仮想現実)機器が17%減と失速する一方で、ディスプレイを搭載したAR(拡張現実)グラスは136%増、そしてディスプレイを持たないスマートグラスに至っては210%増と爆発的な伸びを見せている。

 市場をけん引しているのは、映像表示用のディスプレイを持たず、カメラ、マイク、そしてAI(人工知能)機能を備えた製品だ。

2026年第1四半期のスマートグラス市場サマリー
2026年第1四半期のスマートグラス市場サマリー[クリックで拡大] 出所:ウェアラブルコンピュータ研究開発機構

 一般の生活者からすれば、「スマートグラスが流行している」という実感はまだ薄いかもしれない。しかし、米国や中国ではすでに数百万台規模で市場が大きく動いている。日本でも量販店や眼鏡店の店頭で手に入る環境が整いつつあり、業界の内側から見れば「今までとは明らかにフェーズが変わった」と塚本氏は語る。

スマートグラス市場の2020〜2030年予想
スマートグラス市場の2020〜2030年予想[クリックで拡大] 出所:ウェアラブルコンピュータ研究開発機構

主役は「普通の眼鏡に見える」スマートグラス

 塚本氏は、スマートグラスの形態を大きく5つに分類する。

  1. 業務用途を中心に普及した単眼のスカウター型
  2. HoloLensなどのARゴーグル
  3. VRゴーグル
  4. XREALなどのテザー(接続)型
  5. 「普通の眼鏡に見える」スマートグラス
スマートグラスの5分類
スマートグラスの5分類[クリックで拡大] 出所:ウェアラブルコンピュータ研究開発機構

 そして今、猛烈な勢いで成長しているのが、この5番目のカテゴリーである「普通の眼鏡に見える」スマートグラスだ。

 ケーブルはなく、外見だけでは一般的な眼鏡とほとんど見分けがつかない。日常生活の中で違和感なく装着できること――これこそが、普及への最大の鍵だったわけだ。

 もちろん、このカテゴリーの中にもカメラの有無、ディスプレイの有無(モノクロ/カラー)、片眼か両眼かといった細かな仕様の違いが存在する。全ての機能を1つの端末に詰め込めば、重くなり、バッテリーが持たず、見た目の違和感も増してしまう。用途に応じて機能を削ぎ落とし、最適なバランスを選ぶことが求められているという。

 かつてのスマートグラスは、どれほど高性能であっても重さや見た目の特殊さゆえに長時間の日常利用には耐えられなかった。だが、一般的な眼鏡に近い製品が増えたことで、スマートグラスは「特殊な業務機材」から「日常的に身に着けるコンピュータ」へと脱皮を始めたのである。

直近3カ月(2026年4〜7月)のスマートグラス関連ニュース
直近3カ月(2026年4〜7月)のスマートグラス関連ニュース[クリックで拡大] 出所:ウェアラブルコンピュータ研究開発機構

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