“3つの頭脳”で80TOPSの処理性能を実現 AMDが語る「次世代AIチップ」戦略:組み込み開発 インタビュー(2/3 ページ)
近年、AI需要の伸長により厳しい環境下でも動作可能な高性能チップが必要とされている。このような中、AMDはAI領域に強い、高性能で高耐久な組み込み向け製品を提供し、日本でも市場を拡大している。本稿では同社が展開する組み込み向け製品「AMD x86 Embedded」シリーズの特長や市場の動向に焦点を当てて紹介する。
RyzenシリーズとEPYCシリーズの違いについて
x86 Embeddedシリーズは基板にはんだ付けをしてチップを実装可能にするBGAタイプと、チップの取り外しが可能なソケットタイプの2種類を用意している。なお、振動がある過酷な環境の中で安定して稼働させるために、エッジ領域で使用することを想定したRyzen Embeddedシリーズについては、BGAタイプの製品が多くなっている。
Ryzen Embeddedシリーズの最新のチップはCPUだけでなく、GPUとAI推論に特化したNPUの3つが1セットになっているのが特長だ。杉山氏は「これまでの世代ではCPUコアとGPUコアがメインで入っていたが、Ryzen Embedded 8000シリーズからは新たにNPUを追加している」と述べる。
2026年1月には、Ryzen 8000シリーズをベースにして処理性能をより進化させた「Ryzen AI Embedded」シリーズを発表し、今後は車載および産業オートメーション向けの「Ryzen AI Embedded P100(以下、Embedded P100)」シリーズや、フィジカルAIや自律システム向けの「Ryzen AI Embedded X100(以下、Embedded X100)」シリーズを順次展開する。
EPYC Embeddedは、「コア数」「I/Oインタフェース」「メモリ容量」が大きく、CPUパフォーマンスを最大限にすることを追求しているため、GPUやNPUは内蔵せずにより多くのCPUコアを1つのチップに載せているのが特長だ。現在は、最大8コアのローエンドモデルから最大192コアのスーパーハイエンドモデルまでを提供している。
最大80TOPSを実現 最新チップ「Ryzen AI Embedded」シリーズの強み
Ryzen AI Embeddedシリーズの最新チップであるEmbedded P100シリーズは、4〜6コアの製品と8〜12コアの製品の2種類を用意している。
4〜6コアの製品は2026年1月に米国ネバダ州ラスベガスで開催された「CES 2026」で発表し、現在は製品サンプルを出荷中だ。量産出荷は2026年第4四半期を予定している。もう1つの8〜12コアの製品は、同年3月にドイツ・ニュルンベルクで開催された「Embedded World 2026」で発表し、現在はサンプル出荷中で、2026年下半期に量産出荷を予定している。
Embedded P100シリーズは、AMDの第5世代CPU(Zen 5)、第3世代GPU(RDNA 3)をベースに電力効率を最大化したGPU(RDNA 3.5)に加えて、最大50TOPSのAI処理を可能にするNPU(XDNA 2)を内蔵。製品供給期間は10年間を保証している。
杉山氏は「最近はエッジ領域やフィジカルAI領域での用途で、Ryzen AI Embeddedシリーズが非常に注目されており、多くの引き合いをいただいている。AI処理については、8〜12コアの製品でCPU、GPU、NPUの3つを組み合わせることで最大80TOPSの処理性能が出せる。これを少ない消費電力で実現できる点が好評となっている」と強調する。
推論処理はNPUで、LLM(大規模言語モデル)の処理はGPUで、AIエージェントの処理はCPUで実行することが一番効率が良いとされている。そのためRyzen AI Embeddedシリーズは、どれか1つの機能だけを使うのではなく、3つの機能を使い分けることで効率良く高いパフォーマンスが出せる設計になっている。そして、TDP(熱設計電力)を15〜54Wに抑えているため、大電力でなくても動作可能な点が大きな強みとなっている。
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