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音響通信と自動着水で目指す「海空無人探査ソリューション」とは何か船も「CASE」(2/3 ページ)

JAMSTECと新明和工業が水中小型ビークル「HSV」と無人飛行艇「XU-MII」を用いた海域試験を実施。海中のHSVが取得した観測データを音響通信で洋上のXU-MIIへ伝送し、無人飛行艇によるデータ回収を確認した。併せて、XU-MIIの実海域での自動飛行と自動着水も確認した。

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着水した機体に装備した受波器で音響信号を受ける

 水中において音波は通信だけでなく、相手がどこにいるのかを把握するための測位にも用いる。今回の試験においてHSVとXU-MIIの相対位置の計測は搭載機材の制限により行っていないが、今後のサイズの大きい機体での試験において実施が計画されている。

 さらに、この点は今後の開発課題ともつながり、将来的に複数のAUVや複数の無人機を同じ海域で運用する場合において、音響通信や測位はさらに重要になる。今回のプロジェクトにおいて複数の探査機の同時運用は実施範囲外だが、将来的な海中探査システムで想定されるケースであり、JAMSTECと新明和工業は、そうした将来の運用方法も視野に入れながら設計を進める方針を示している。

 今回の試験では、機体から送受波器をワイヤで水中へ下ろすのではなく、着水した機体に装備した受波器を用いて、HSVからの音響信号を受ける構成を採った。XU-MIIでは、胴体下部に装備した音響受波器を、離着水時の衝撃で破損しないよう流線型のカバーで覆っている。

 飛行艇で水中音響通信を使う試みは前例が少なく、今後確認すべき課題も残る。JAMSTECと新明和工業によれば、機体の動揺特性、機体や推進系などに由来するノイズ特性を把握し、それらが通信品質に及ぼす影響を評価して対策する必要があるという。さらに、無人飛行艇に搭載する装置には小型化と軽量化も強く求められるため、装置設計や搭載方法も今後の検討対象になる。これらについては、シミュレーションによる推定に加え、今回用いたスケール機、今後製作する試作機や実証機での実測評価を重ねながら調整していく予定だ。

 なお、先に述べたように、今回の試験は浅海域で行われたため、海面や海底からの反射が複雑に重なるマルチパス環境で通信を行った。一方で、本プロジェクトが主な調査対象として想定するのは深海なので、変動の大きい浅海域マルチパス環境への対応は、本プロジェクトの主たる実施範囲には含まれない。この点についてJAMSTECでは、別の調査システムに関する検討の中で、変動するマルチパス環境への対応手法について研究開発を進めているという。

無人飛行艇の離着水信頼性とAUV投入揚収方法は?

 今回の自動着水試験は、風浪やうねりの小さい穏やかな環境で実施した。XU-MIIはこれまでに、風速で秒速5m、波高0.3m以上での運用実績があるという。自動着水で確認すべき技術要素には、進入経路制御、姿勢制御、接水時の安定性、着水後の水上航走制御などがある。今回の試験では、これらのうち特に進入経路制御を重視したという。今後は、制御対象をさらに細分化し、信頼性の高い自動離着水への対応を進める予定だ。

 将来的に計画しているAUVの海中投入と揚収も、無人飛行艇が着水した状態で行う想定だ。投入時には、自動投入揚収装置に設けたスロープを海面まで下げ、その装置からAUVを切り離して滑り落とす。無人飛行艇は、ある程度の水上航行能力を備える想定だが、詳細は現在も検討中としている。

 揚収時には、自動投入揚収装置のスロープから、誘導目標となる音源と光源を備えた揚収ロープを吊り下げる。まず音響装置でAUVを無人飛行艇の近傍まで誘導し、続いて、AUVが搭載カメラで光源を検出し、その光源へ向かって移動する。AUVが揚収ロープを捉えてドッキングした後、ロープを巻き上げ、スロープ経由でAUVを機内に揚収する。最後にスロープを閉じて格納する流れだ。波浪の影響を抑えるため、AUVの誘導からドッキングまでは、ある程度潜航した状態でこのシーケンスを実施する想定である。

無人飛行艇「XU-MII」と水中小型ビークル「HSV」を並べる
無人飛行艇「XU-MII」と水中小型ビークル「HSV」を並べる。全長3.86m、全幅5.5mのXU-MIIに対し、HSVは全長1.4mの小型機だ。将来は無人飛行艇でAUVを運搬し、投入/揚収して帰還するシステムを目指す[クリックで拡大] 出所:JAMSTECと新明和工業のプレスリリース

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