マツダが挑む設備保全DX、AIやIoTで自動車工場内火力発電所の現地点検ゼロへ:MONOist AI Forum 2026(2/3 ページ)
産業向けメディアのMONOistはライブ配信セミナー「MONOist AI Forum 2026 本格実装フェーズに入った製造業AI、現場課題解決の最前線」を開催した。本稿では、「DXで進化するプラント施設保全業務〜CPS化による現場革新〜」と題してマツダが行った基調講演の一部を紹介する。
【STEP 0】「選択と集中」で活動の土台づくり
STEP 0では、現状の把握として点検の種類を整理し、一覧表を作成した。日常的に行っている点検だけでなく、取扱説明書やメーカー推奨点検も改めて確認した。不具合対応を通して加えた点検項目なども含めると、点検項目は数百に上った。「不具合なく稼働を継続させるために必要な点検項目を見極めて、より付加価値の高い業務品質を目指すためには非常に重要な工程だった」(福島氏)。
点検一覧表を基に種別分けを行った結果、大部分は圧力、温度、振動、汚れ具合、作動状況確認、石灰漏れ、エアー漏れに分けられた。この点検の種別分けを行ったことで、「検討すべきDX/AI化の手段も少数に絞ることができた」(福島氏)という。
ここでのキーワードは「選択と集中」となる。プログラミング言語のPythonやドローンなどの手段から対象に落とし込むのではなく、全体を俯瞰して分別した上で手段をあてはめていくことで、「結果的にやらなければならないことが減り、効率的にDX/AI化が進められると考えた。これが“選択と集中”となる」(福島氏)としている。
【STEP 1】計器読み取り遠隔化、現場現物の検証
STEP 1での計器読み取り遠隔化では、エネルギーセンターの特性を考慮して必要な条件を決定した。点検箇所は集約されており無線化がしやすかった他、対象物が多いことからメンテナンス性の高さが求められた。それらの条件を基に幾つかの無線センサーを選定した。
デモ機については、遠くて設備の裏に隠れている箇所など不利な条件を含めて検証した。デモ機検証を通して、設備や建屋などの障害物による通信減衰が予想よりも大きいことが分かったという。多くの無線通信機器は、障害物があっても電波が回り込む特性を持つ2.4GHz帯を使っているが、設備が複雑に入り組んだ場所では電波の減衰が大きかった。
また、現物を見たり、使ったりすることで、現場での取り付け方法やメンテナンス性のイメージもつかむことができた。「導入検討や納入待ちのタイミングと同時並行で実運用検討ができ、実用化までをスムーズに手戻りなく行うことができた。現場、現物による検証の重要性を改めて感じる経験だった」(福島氏)。
結果として、振動、温度、圧力のデータを遠隔収集できる横河電機の小型無線センサー「Sushi Sensor」を導入。同製品で対応できない場所に関しては、メーターが読み取れるLiLzの遠隔自動点検AI「LiLz Gauge」を採用した。データ取得の安定性、コスト、運用性なども加味したベストミックスの選択結果を得たとした。さらに、点検表への自動転記やデータ管理への落とし込みで、データ確認の時間を短縮する運用改善も行った。
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