ADEKAが半導体の全領域カバーを加速、次世代材料の新研究拠点稼働:研究開発の最前線(4/4 ページ)
ADEKAが埼玉県久喜市で「半導体イノベーションセンター」を本格稼働させた。総工費約120億円を投じ、最新のクリーンルームや評価設備を集約。半導体材料事業を全社利益の40%を占めるコア事業へと引き上げ、2035年には同事業の営業利益を現在の2倍超へと拡大する。総合半導体材料メーカーへの飛躍を狙う同社の戦略と、新拠点の全貌に迫る。
ハイブリッドボンディング技術を開発中
「後工程/パッケージ領域の開発加速」に関して、環境材料(樹脂や接着材料など)の研究開発を行っているマテリアルソリューションセンターでこれまで培ってきた接着/接合技術の基礎を応用し、半導体の後工程向け材料として進化/開発させていく考えだ。
城詰氏は「国内外で、チップを積層させるインターポーザ技術の開発などが盛んだが、後工程の特定領域に当社の既存技術が応用でき、顧客と具体的なアプローチを検討している。アンダーフィル材、封止材、ダイアタッチフィルム材、SAP用材料など、従来の技術が応用できるケースが多くある。特に次世代3D実装に必須となるハイブリッドボンディング技術に関して、横浜国立大学と新材料の共同研究/開発を進めており、当社の技術が応用できる範囲を見極めているところだ。これが完成すれば、大幅な省スペース化と高精度/省電力が実現できる」と説明した。
現在の成長ドライバー
同社は半導体の全領域をカバーする総合半導体材料メーカーを目指すという。「これまではメモリ向け材料を主体に展開してきたが、今後は、電極材料やロジック向け材料、リソグラフィ材料に関しても開発を加速させる。これまでは化学増幅型レジスト(CAR)に貢献するPAGを中心に展開してきたが、MORの材料に関しても開発を加速させる。後工程やパッケージ向け材料の開発も進めていく」と城詰氏は語った。
現在、同社半導体事業の成長ドライバーは、光酸発生剤やMOR用金属化合物、ALD向けの高誘電材料だ。MOR用金属化合物は先端領域でシェアを拡大しており、高誘電材料のシェアは先端DRAM向け世界で1位だという。
ALDによる成膜技術は、メモリのキャパシターに原子層レベルで緻密かつ均質な金属酸化膜を形成する。同技術は、電気を多くためられるようにし、メモリの高容量化に貢献する。
「当社のメモリ領域における競争優位の源泉は合成技術力と提案力だ。当社は、扱いが難しい有機金属錯体を自由に操って、不純物を制御しながら狙い通りの材料を生み出す合成技術を有している。顧客と密接に連携し、課題を認識してトータルソリューションを提案できる力も有している。次世代に向けた高度な材料設計とプロセス技術に長い時間をかけて応えられるポジションに、われわれは今いると認識している」(城詰氏)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
世界初 次世代二次電池向け正極材を活用し軽量リチウム-硫黄二次電池の試作に成功
ADEKAは、開発中の次世代二次電池向け正極材「SPAN(スパン)」と樹脂箔から構成される正極を用いた軽量二次電池「軽量Li-SPAN/樹脂箔パウチセル」の試作に、うるたまとともに世界で初めて成功した。
ADEKAの環境対応型添加剤がソニーの「BRAVIA」に採用
ADEKAの環境対応型樹脂添加剤「アデカシクロエイド FP-600I」が、ソニーの新型4K液晶テレビ「BRAVIA 9 II」の一部モデルに採用された。
PPでPSやPETに相当する透明性を実現、樹脂添加剤を新開発
ADEKAは、樹脂添加剤の新ブランドとして透明化剤「トランスパレックス(英名:TRANSPAREX、製品名:アデカトランスパレックス CAシリーズ)」を開発し、2024年11月から米国、アジア圏を中心に販売を開始した。
レゾナックの最注力は半導体の後工程材料、6G向け半導体の新材料も開発
レゾナック・ホールディングスは「レゾナック株式会社」を発足した。レゾナックでは、昭和電工と日立化成の技術を組み合わせて、世界トップクラスの機能性化学メーカーになることを目指している。
半導体不足の裏で大奮闘、語られざる半導体商社の仕事を知る
半導体不足などのニュースで、半導体の流通に携わる「半導体商社」にスポットライトが当たる機会はあまりない。半導体の流通業務に携わる商社の立場から見て、昨今の半導体不足はどのように見えていたのか。そもそも半導体商社はどのような仕事をしているのか。コアスタッフ代表取締役に話を聞いた。


