日本のロボット開発は「安全性」を優先、フィジカルAIも重視するが姿勢は慎重:ロボット開発ニュース(1/2 ページ)
QNXが日本を含む世界7カ国1000人のロボティクス開発者を対象に実施した調査レポートを実施した。世界全体がロボット開発におけるAIの能力向上を最優先事項に挙げる一方で、日本ではAI活用の前にセキュリティや機能安全といった安全性の確立を優先する「AIの前に安全基盤」という独自の姿勢が浮き彫りになった。
QNXは2026年5月21日、東京都内で会見を開き、日本を含む世界7カ国1000人のロボティクス開発者を対象に実施した調査レポート「Inside the Robot:ロボットアーキテクチャの実態調査」について説明した。同調査では、フィジカルAI(人工知能)が注目を集める中、世界全体がロボット開発におけるAIの能力向上を最優先事項に挙げる一方で、日本ではAI活用の前にセキュリティや機能安全といった安全性の確立を優先する「AIの前に安全基盤」という独自の姿勢が浮き彫りになった。
今回の調査は2026年2月25日〜3月4日に実施された。調査対象の1000人には、北米の250人(米国150人、カナダ100人)、ドイツの150人、フランスの150人、中国の100人、日本の100人が含まれている。
QNX Japan カントリーセールスディレクター、Japan GEMのアガルワル・サッチン氏は、ロボティクスの未来を形作るものとして「AIによる自律化」「デジタルツイン」「ソフトウェアデファインドシステム」「強靭(きょうじん)なサイバーセキュリティ」「リスクとその影響」「セキュアな接続」という6つの項目を挙げた。その上で「ロボティクスの重要性を高めるドライバーになっているのはソフトウェアデファインドになってきたことにあるだろう。一方で、リスク対応のために規制が強化されており、より強固なセキュリティも求められている。コネクティビティが増えることでリスクも増えている現状がある。AI活用はもちろん重要ではあるものの、どう使うかが難しいことが課題だ」と語る。
今回の調査で、世界全体と日本で大きな違いが見られたのが「今後3〜5年の主要な開発優先事項」に対する回答だった。世界平均では1位が「AI機能の拡張」だったのに対し、日本は「安全認証と規制対応」が1位であり「AI機能の拡張」は4位にとどまった。サッチン氏は「日本のロボティクス開発者はAIを否定しているわけではない。まずは安全性や規制適合、システム信頼性の確立を優先しており、AIの活用はその後に行うというスタンスだとみられる」と説明する。
他の設問でも、日本の開発者は安全性を重視する結果が出ている。最も重要なOS選定基準として、セキュリティは52%、安全認証は45%で、世界平均のセキュリティ47%、安全認証30%を上回る結果となっている。また、日本の開発者は、最重要ソフトウェアコンポーネントとして開発ツールを挙げている(60%)。
世界全体との違いとして堅調なのが拡張性に対する考え方だ。「現行アーキテクチャの拡張性への信頼度」への回答では、「大幅に拡張できる」が世界平均の27%に対して日本は12%にとどまった。一方、「限られた範囲で拡張できる」は世界平均が16%だったのに対して日本は27%と逆転した。
なお、日本の開発者が重視するセキュリティは世界全体で見ても重要な課題になっている。「OS変更の最大要因」に対する回答では、セキュリティ懸念が世界平均で30%、日本で39%となっている。今後3〜5年間でロボティクス開発における投資配分が増加すると予想される領域に関する設問でも、サイバーセキュリティは世界平均で51%、日本で65%とトップとなった。規制対応の課題についてもサイバーセキュリティ規制対応がトップ(世界平均51%、日本55%)、ロボティクスの将来に対する最大懸念もセキュリティ脅威/脆弱(ぜいじゃく)性がトップ(世界平均45%、日本43%)だった。
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