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半導体パッケージ基板の伝送ロス極小化、既存設備/材料でOK材料技術(1/2 ページ)

半導体の前工程における微細化が限界を迎える中、パナソニックインダストリーが新技術を発表。透明導電フィルム「FineX」を応用し、従来のPWBでは困難だった2〜10μmの微細配線を実現した。業界の「10μmの壁」を打ち破る独自工法の仕組みや、今後の事業展開の全貌に迫る。

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 パナソニック インダストリーは2026年5月21日、合同取材に応じ、透明導電フィルム「FineX(ファインクロス)」を応用して、半導体パッケージ向けのキャリア付き微細配線タイプのFineX(以下、キャリア付き微細配線タイプ)を開発したと明かした。

 FineXは、メタルメッシュタイプの透明導電フィルムで、独自の製造技術「ロール to ロール 一括両面配線」により高い透過率と低いシート抵抗値を実現している。ロール to ロール 一括両面配線は、樹脂フィルムに溝を形成した後、この溝に配線幅が2μmで従来品より厚みがある銅線を取り付けることで高い透過率と低いシート抵抗値を可能としている他、0.74という優れたアスペクト比を達成している。

配線幅ばらつきの影響は設計値±0.1μm

 近年、情報量の増大でデータセンターや端末の処理要求が増大しており、これらで利用される半導体の高速化や大容量化、広帯域化が求められている。しかし、シリコンチップの前工程における、トランジスタや回路の微細化と高集積化は限界を迎えつつある。そのため、半導体の後工程であるパッケージ組み立て技術による高密度化や低損失の重要性と関心が高まり、市場が拡大している。

半導体パッケージ市場の概況
半導体パッケージ市場の概況[クリックで拡大] 出所:パナソニック インダストリー

 一方、パッケージ基板側にも課題がある。従来のプリント配線板(PWB)の製造技術では、配線の線幅(L/S)を10μm以下に微細化することが難しい他、「表面の粗さ」による、高周波信号を伝送する際の伝送ロスがボトルネックとなっていた。

 そこでパナソニック インダストリーは、FineXを応用して、キャリア付き微細配線タイプの開発に踏み切った。

「キャリア付き微細配線タイプ」の開発に踏み切る
「キャリア付き微細配線タイプ」の開発に踏み切る[クリックで拡大] 出所:パナソニック インダストリー
パナソニック インダストリー メカトロニクス事業部 ファインマテリアルビジネスユニット テクノロジーイノベーション統括部 技術二部 開発五課 課長の森田陽介氏
パナソニック インダストリー メカトロニクス事業部 ファインマテリアルビジネスユニット テクノロジーイノベーション統括部 技術二部 開発五課 課長の森田陽介氏

 同社 メカトロニクス事業部 ファインマテリアルビジネスユニット テクノロジーイノベーション統括部 技術二部 開発五課 課長の森田陽介氏は「キャリア付き微細配線タイプは、樹脂フィルム上に目に見えないほど微細な銅配線を形成し、高い透過率と導電性を両立させた『透明導電フィルム』として5年以上前から量産されている製品だ。透明ヒーターやディスプレイの内蔵アンテナなどに採用されてきたこの技術を、約5年の歳月をかけて半導体パッケージ向けに最適化させた」と振り返った。

 その上で、「キャリア付き微細配線タイプでも、ロール to ロール 一括両面配線が採用されているが、半導体パッケージは『透明であること』が不要であるため、基材に剛性と寸法安定性に優れた金属のロールフィルム(メタルキャリア)を採用した。メタルキャリアの上部には、耐熱性や高周波特性に優れた樹脂層が配置されている。最大の特徴は、樹脂層への回路形成において、エッチングを伴うセミアディティブ(SAP/mSAP)工法ではなく、ロール to ロール 一括両面配線を用いる点だ」と強調した。

既存のFineXとキャリア付き微細配線タイプの比較
既存のFineXとキャリア付き微細配線タイプの比較[クリックで拡大] 出所:パナソニック インダストリー

 ロール to ロール 一括両面配線では、インプリント工法により金型(モールド)を樹脂層に押し当てて微細な溝を形成し、その溝の中に銅メッキを埋め込む。これにより、3つの利点を創出している。

 1つ目は、エッチングによる配線の「細り」や「ばらつき」が発生しない点だ。同社のインプリント工法は、金型の形状が忠実に転写されるため、配線幅ばらつきの影響は設計値±0.1μmを誇る。これにより、基板の端と中央での特性のばらつきが極めて少なくなり、高周波伝送に不可欠なインピーダンスの安定化を実現する。

高い寸法精度と平滑性を実現した、線幅2〜10μm対応のCu配線形成済みフィルム
高い寸法精度と平滑性を実現した、線幅2〜10μm対応のCu配線形成済みフィルム[クリックで拡大] 出所:パナソニック インダストリー

 2つ目は、エッチングレスであるため、回路表面が滑らかに仕上がる。今回の製品の表面粗さ(Ra)は0.007μm以下となる。「高周波信号は導体の表面付近しか流れない『表皮効果』の影響を受けるため、表面が滑らかであるほど伝送ロスを極小化できる。高速通信において、この恩恵は計り知れない」(森田氏)。

 3つ目は、従来のプリント配線板では限界とされていた10μmの壁を克服し、2〜10μmレンジの微細な銅配線を大面積(最大600mm角サイズ)で形成可能とした点だという。

キャリア付き微細配線タイプの新規性/インパクト
キャリア付き微細配線タイプの新規性/インパクト[クリックで拡大] 出所:パナソニック インダストリー

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