検索
ニュース

1日当たり平均100億円を取り扱う旅客販売総合システム「MARS」 その進化とは鉄道技術(1/3 ページ)

IEEE東京支部は、1959年7月に完成した鉄道座席予約システム「MARS-1(マルスワン)」が2025年5月20日に「IEEE Milestone」に選定されたことを記念し、東京都内で「IEEE Milestone贈呈記念式典」を開催した。同式典ではMARS-1に関わった日立製作所、鉄道情報システム、鉄道総合技術研究所が銘板の贈呈を受けている。本稿では同日に開催した記念講演会内容を基にMARS-1の開発経緯と進化について紹介する。

Share
Tweet
LINE
Hatena

 IEEE東京支部は2026年5月18日、1959年7月に完成した鉄道座席予約システム「MARS-1(マルスワン)」が2025年5月20日に「IEEE Milestone」に選定されたことを記念し、東京都内で「IEEE Milestone贈呈記念式典」を開催した。同式典ではMARS-1に関わった日立製作所、鉄道情報システム、鉄道総合技術研究所が銘板の贈呈を受けている。本稿では同日に開催した記念講演会内容を基にMARS-1の開発経緯とその進化について紹介する。


贈呈式の登壇者。左から日立製作所 執行役専務の永野勝也氏、鉄道総合技術研究所 理事長の渡辺郁夫氏、IEEE Region 10 歴史委員長の尾上孝雄氏、鉄道情報システム 代表取締役社長の池田孝行氏

IEEEはどのような組織なのか

 IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)は米国に本部を置く電気/電子分野の世界最大の専門家組織だ。190カ国以上で53万人を超える会員が在籍しており、2025年時点で日本国内には約1万4000人以上の会員が存在している。

 同組織が社会や産業の発展に多大な貢献をした歴史的業績を表彰する取り組みがIEEE Milestoneである。電気/電子をはじめとする技術領域における画期的なイノベーションの中で、開発から25年以上経過し、社会や産業の発展に多大な貢献をした歴史的業績を表彰する制度として1983年に創設された。


IEEE Milestoneの認定要件[クリックして拡大] 出所:IEEE東京支部

 日本では八木・宇田アンテナや東海道新幹線、野辺山天文台(長野県南佐久郡南牧村)にある45m電波望遠鏡などがIEEE Milestone認定を受けている。IEEE東京支部 2019-2022歴史委員長の鈴木浩氏は「現在、日本国内で66件のIEEE Milestoneが認定されている。グローバルに見ても、非常に日本のコントリビューションが素晴らしいとご理解いただけると思う」と語る。

鉄道座席予約システムの始祖「MARS-1」

 IEEE Milestoneに選定された鉄道座席予約システムMARS-1は、現在も運用されている旅客販売総合システム「MARS」の初期型であり、日本国有鉄道(国鉄、現:JRグループ)の鉄道技術研究所(現:鉄道総合技術研究所)に在籍し、情報処理学会 第9代会長を務めていた穂坂衛氏が発案した。MARS-1の開発には穂坂氏の他に、同学会 第14代会長の大野豊氏が大きく関わっている。

 MARS-1の試作機は鉄道技術研究所の論理設計に基づき、日立製作所が回路設計/製作を担当し、1959年7月に完成している。その後、国鉄の分割民営化によりMARSは鉄道情報システムに運営が引き継がれた。

 MARS-1は導入当初、1日3600座席、最大で15日先までの予約に対応していた。その後、タスク共有式のマルチコンピュータアーキテクチャを採用することで適用路線を増やし、1965年には新幹線の座席予約システムとしても活用されるようになった。1991年には1日当たり100万枚以上の切符販売が可能となり、世界中の鉄道切符販売に革命をもたらした。


MARS-1の外観[クリックして拡大] 出所:日立製作所

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

       | 次のページへ
ページトップに戻る