中国製SiCウエハーの安さと驚く生産規模 技術商社が仕掛ける新しい「右から左」:製造マネジメントニュース(1/4 ページ)
低コストと大規模な生産能力で注目される中国のSiC製品。日本企業に対し、老舗技術商社のマルエム商会が「Best-Fitナビゲーター」として、SiCパワー半導体で必要な中国のSiC製品を提供する。「単なる『右から左へ』の商社ではない」という同社のビジネスモデルとは……。
マルエム商会は2026年5月18日、都内で記者会見を開催し、同年4月に本格参入した、SiCパワー半導体で必要なシリコンカーバイド(SiC)製品ビジネスについて紹介した。
パワー半導体向けSiC製品のBest-Fitナビゲーターを目指す
1923年創業の同社は、自動車業界を顧客基盤とし、「環境・GXソリューション事業」「FAロボットソリューション事業」「マシニングソリューション事業」「海外事業」「電力機器エネルギー事業」「新規事業」を展開する商社だ。
マルエム商会 代表取締役社長の西岡隆夫氏は「当社は、創業者の森田秋男が繊維業向けに電気工事を中心としたエンジニアリング事業を展開したことがスタートだ。その後、トヨタ自動車の本社工場に重要な受変電設備を導入したことを皮切りに、それ以降、トヨタ自動車とは直接取引をさせてもらっている」と胸を張る。
西岡氏はSiCパワー半導体で必要なSiC製品ビジネスに本格参入した要因として「電気自動車(EV)の台頭」「新たなポートフォリオの創出」を挙げた。
「電気自動車の台頭」について、西岡氏は「EVの普及は、自動車向けに展開している当社の製造/ユーティリティー設備に与える影響が非常に大きい。それを補うために、EVの台頭に対応するような事業を起こす必要があった」と話す。
「新たなポートフォリオの創出」に関して、「当社の事業のほとんどが設備に関連している。私自身が、1985年から29年間にわたり、住友電気工業の材料系研究所で無機/金属材料の研究開発に従事していたこともあり、第2のポートフォリオとして『部品/素材』をターゲットとした」と西岡氏はいう。
西岡氏は同社のSiCビジネスを次のように語った。「『Best-Fitナビゲーター』として、SiCウエハーやSiCエピタキシャルウエハー(以下、エピウエハー)に加えて、これらのウエハーを用いた『SiCダイ』『SiCダイ オン ウエハー』『SiCデバイス』『SiCモジュール』などを提供する。三菱電機やデンソー、富士電機などの国内モジュールメーカーはSiCパワー半導体の下工程(モジュール化やデバイス化)に強い。これらのメーカーには、SiCウエハーやこれをエピタキシャル成長させたSiCエピウエハーを提供する。中堅/中小半導体メーカーの顧客からは『SiCチップの状態で供給してほしい』という要望があり、このニーズにも応えていく。つまり、当社のSiCビジネスは、顧客のプロセスに合わせて、ベストなSiC製品の提案や供給を行う」。
同社では、JSGがSiC粉末を単結晶成長させたSiCインゴットのカットおよび研磨などを行ったSiCウエハー、TYSiCがSiCウエハーをエピタキシャル成長させたSiCエピタキシャルウエハー(エピウエハー)、これらのウエハーを活用してUNTが製造した、SiCダイ、SiCダイ オン ウエハー、SiCデバイス、SiCモジュールを展開する。いずれも中国メーカーだ。
西岡氏は「単なる『右から左へ』の商社ではなく、当社はエンジニアも擁する技術商社だ。中国と日本のビジネス文化の違い(スピード感など)を調整するだけでなく、『クオリティーコントロール(品質管理)』を当社が工程監査を含めて担う」と述べた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


