ワイブル解析からFMEA、DFMEAへ 故障を未然に防ぐ信頼性設計の基本:若手エンジニアのための機械設計入門(16)(2/3 ページ)
3D CADが使えるからといって、必ずしも正しい設計ができるとは限らない。正しく設計するには、アナログ的な知識が不可欠だ。連載「若手エンジニアのための機械設計入門」では、入門者が押さえておくべき基礎知識を解説する。第16回は、前回解説したワイブル解析で得た故障傾向をFMEA/DFMEAへどう展開し、設計改善やCAE検証につなげるか、その基本的な流れを整理する。
3.故障影響の意味
故障影響は、「その故障が起きたときに何が困るか」を示します。
例えば、
- 精度低下
- 回転停止
- 異音/振動
- 寿命低下
などです。
ここでのポイントは、ユーザー視点で影響を考えることです。
例えば「摩耗」自体は問題ではなく、
- 精度が出ない
- 製品として使えない
という状態が問題です。
4.原因の扱い方(FMEAとしての考え方)
FMEAでは原因も記載します。
例えば、
- 面圧過大
- 潤滑不足
- 偏荷重
- シール不良
などです。
ここでのポイントは、現象の原因を大まかに把握することです。FMEAでは、原因を完全に特定するというよりも、どこに設計上の問題がありそうか、その方向性を整理します。
5.S/O/Dの考え方
FMEAの核心は評価です。評価では、S(Severity:重大度)、O(Occurrence:発生頻度)、D(Detection:検出性)を用います。
- S(Severity:重大度):故障したときの影響の大きさ
→ 回転停止は最大(10) - O(Occurrence:発生頻度):どれくらい起きやすいか
→ 摩耗は比較的高い - D(Detection:検出性):事前に気が付けるか
→ 潤滑不足は検出が難しい
6.RPNの使い方
「RPN(Risk Priority Number)」は、RPN=S×O×Dで算出されます。一般的に、RPNが高いほど優先して検討すべきリスクであると考えます。
例えば、
- 摩耗:240
- 焼き付き:240
- 疲労破壊:225
と計算され、この値により、どの故障から対策を考えるべきかの目安が分かります。
ただし、RPNはあくまで目安です。実務では、
- 重大度が高いもの(停止/安全)を優先
- 次に発生頻度
- 検出性は補助
という順で判断します。つまりFMEAは、原因を完全に特定するものではなく、原因の方向性を示すものといえます。
7.対策欄の位置付け
FMEAにおける対策は、「すぐに設計変更する」ためのものではなく、検討方向を示すものです。
例えば、
- 接触面積拡大
- 給脂改善
- 芯ずれ対策
- 防塵(じん)構造追加
といった対策が考えられます。
この段階では、本当に効果があるか、どの程度改善するかまでは確定していません。まずは対策の方向性を整理し、その後の設計検討や検証につなげることが重要です。
FMEAの役割まとめ
FMEAは、
- 故障を網羅的に洗い出す
- 影響を整理する
- 優先順位を決める
ためのツールです。
つまり、「どこが危ないか」を可視化するものです。
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