リサイクルリチウムの次世代生産技術、核融合発電の燃料製造に役立つワケ:リサイクルニュース(1/3 ページ)
LiSTieが、使用済みリチウムイオン電池から1枚のセラミックス膜で高純度リチウムを抽出する技術の実証機を開発した。実証機は市況の5分の1という低コストでリサイクルリチウムを製造できる。同技術は核融合発電の燃料製造に役立つという。そのワケとは――。
スタートアップのLiSTieは2026年3月26日、千葉県柏市のオフィスビル「三井リンクラボ柏の葉」内に設置された研究施設「柏の葉ラボ」で記者会見を開催し、高純度リチウムの回収技術「Li Separation Method by Ionic Conductor(LiSMIC)」を備えたベンチプラント実証機が完成したと発表した。なお、LiSMICは直接リチウム抽出(DLE)技術の1種だ。
塩湖のリチウム資源からの水酸化リチウムダイレクト製造にも対応
近年、リチウムの資源の用途が広がりを見せている。特に、電気自動車(EV)や蓄電池などで使用されるリチウムイオン電池の用途が大きくけん引している。
現時点でリチウム資源の市場は4年前と比べて約4倍に拡大しているという。2030年には大型リチウムイオン電池がさらに市場をけん引し、リチウム資源の市場が10兆円を超えるという見方もある。
一方、欧州連合(EU)や中国ではリサイクルリチウムの使用を義務化する方針を示しており、自動車メーカーは対応に追われている。しかし、現状はリサイクルリチウムの品質が低く、使用が困難だという。
溶媒抽出などの従来技術では不純物の濃度が高い塩湖からリチウム資源を回収することも難しい。塩湖はリチウム資源の推定埋蔵量が8500万トン(t)と推測されている。
また、市場に流通している水酸化リチウムの多くは中国で精製されており、調達において地政学リスクの影響を受ける可能性があるという。中国では、リチウム鉱石からリチウムを抽出するために、1000℃でリチウム鉱石を焙焼した上で溶媒抽出を実施する。この手法は、CO2排出量が多い他、大量の薬剤を使用しており、課題がある。
これらの課題を踏まえて、LiSTieはLiSMICの研究開発を進めている。LiSMICは、イオン伝導体であるセラミックス膜をリチウム分離膜として活用したリチウムの抽出技術だ。同技術は、リチウムのみ透過可能なセラミックス膜1枚のみで、リチウムイオン電池の性能に大きな影響を与える銅(Cu)などの元素をほとんど含まない純度99.99%のリチウムを回収できる。
同社 代表取締役の星野毅氏は「現在、リチウムリサイクルの主流となっている溶媒抽出法や、吸着剤、ナノフィルターなどのリサイクル技術は、『(得られる)リサイクルリチウムの純度が低い』『高純度化を目的に炭酸リチウムにしてから水酸化リチウムに変換する手間がかかる』といった課題が存在する。LiSMICは、これらの課題を解決する技術だ。LiSMICの中核となる技術は『リチウムイオンのみを選択的に通す特殊なセラミックス膜』だ」と話す
その上で、「この膜は、製造段階であえてリチウムに対する格子欠陥を設けている。これにより、マグネシウムやナトリウムなどのイオンを通さず、エネルギー的に親和性が高くサイズの合うリチウムイオンのみが膜を通り抜ける仕組みを実現している。塩湖や鉱山のリチウム資源から水酸化リチウムをダイレクト製造することにも対応する」と補足した。
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