半導体開発の当事者でもあるAWSは変化の激しい半導体業界にどう貢献しているのか:製造ITニュース(1/2 ページ)
アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)は、報道陣向けのオンライン勉強会を開催し、半導体業界におけるAWSの取り組みについて説明した。
アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)は2025年12月12日、報道陣向けのオンライン勉強会を開催し、半導体業界におけるAWSの取り組みについて説明した。
AWSの半導体開発の歴史
アマゾン(Amazon.com)はさまざまな事業を展開しているが、ファブレス半導体企業の側面も持っている。同社が独自の半導体デバイスを設計するとともに、外部委託で製造した半導体デバイスをグローバルで利用するためのサプライチェーンを構築している。その用途は、AWSのデータセンターのインフラやフルフィルメントセンター、「Echo」ブランドで展開するコンシューマーデバイス、ロボット、AI(人工知能)技術などさまざまな領域にわたっている。
AWSの半導体開発の歴史は、2011年にイスラエルで創業したAnnapurna Labsとの歩みから始まった。AWSは2014年に独自に半導体開発を担うシリコン最適化チームを結成しており、その後Annapurna Labsを買収し、一体化している。
AWSはクラウド上での半導体設計手法を徐々に導入し、現在ではクラウド上で安全なシリコンチップ(SOC)開発が可能となり、複数拠点間で協働作業をしている。AWSジャパン エンタープライズ技術本部 ハイテク&ヘルスケア・ライフサイエンス部長の益子直樹氏は「現在、ほとんどの作業をクラウド上で実施しており、オンプレミスに残しているものは物理的なものが必要なエミュレータ専用環境のみである」と語る。
同社が独自開発している主な半導体は、AWSの基盤となる「AWS Nitoro System」や「AWS Nitoro SSD」、CPUの「AWS Graviton」シリーズ、AIアクセラレータの「AWS Inferentia」「AWS Trainium」である。益子氏は「AWS Nitro Systemは、AWSのクラウド上の仮想サーバシステムである『Amazon EC2』を支える重要な基盤となっており、OSが必要とするネットワークやストレージ、セキュリティの暗号/複合化といった重いワークロードを独自の機能として切り出した半導体である」と強調する。
AWSが独自に半導体開発を行う理由の1つとして最適化がある。同社は巨大なデータセンター群の環境に合わせ、自身でハードウェアを作っていくことで、電力効率を高めることに成功した。「仕様を自分たちで策定することで、開発速度の向上にもつながる。顧客が求める性能に対して、われわれで仕様からハードウェアレベルで実装していくことで、さまざまなイノベーションを届けることができている」(益子氏)。
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