Mujinが“プロダクトビジネス”に展開拡大、NTTグループとの協業で完全自動化も:製造マネジメントニュース(1/2 ページ)
NTT、NTTドコモビジネス、Muijnが資本業務提携契約を締結した。MujinはシリーズDラウンドの初回クローズで総額364億円の資金調達を発表しており、このうち209億円の第三者割当増資にNTTとNTTドコモビジネスが参加する形でMujinへの出資を行った。
NTT、NTTドコモビジネス、Muijnは2025年12月2日、東京都内とオンラインで会見を開き、資本業務提携契約を締結したと発表した。同日にMujinはシリーズDラウンドの初回クローズで総額364億円の資金調達を発表しており、このうち209億円の第三者割当増資にNTTとNTTドコモビジネスが参加する形でMujinへの出資を行った。
今回のMujinへの第三者割当増資では、NTTグループとカタール投資庁が共同リード投資家を務め、三菱HCキャピタルリアルティとSalesforce Venturesも参加している。加えて、みずほ銀行や三井信託銀行など複数の銀行や金融系事業会社各社から総額155億円のデット調達も行っており、総額364億円の資金調達となっている。
会見の登壇者。左から、NTTドコモビジネス 執行役員 ビジネスソリューション本部 ソリューションサービス部長の山下克典氏、NTT 執行役員 研究開発マーケティング本部 アライアンス部門長の爪長美菜子氏、Mujin 共同創業者の滝野一征氏、ロセン・デアンコウ氏、三菱HCキャピタルリアルティ 代表取締役社長の若尾逸男氏、セールスフォース・ジャパン 常務執行役員 Salesforce Ventures 日本代表パートナーの浅田賢氏[クリックで拡大] 出所:NTT
Mujinは今回の資金調達により、独自の産業オートメーションプラットフォームである「MujinOS」を組み込んだ「Mujinコントローラー」を用いてインテグレーションを行うロボットソリューション型ビジネスから、よりスケーラブルな“プロダクトビジネス”への移行を加速させ、MujinOSを長期的な成長戦略の中核に据える。Mujin 共同創業者の滝野一征氏は「当社はロボットメーカーではなくロボットの共通OSを開発している会社である。イノベーションの歴史の中で次の技術革新とされる『フィジカルAI』によって実現される自律的に動く知能ロボットはロボットの共通OSが不可欠であり、それを世界で今唯一持っているのがMujinだ」と語る。
実際にMujinOSの導入数は2000以上に達するなど量産ラインでの稼働実績を積み重ねており、直近2年間の売上高成長率も72%に達する。従業員数は400人以上で、日本の他、米国、欧州、中国で事業を展開している。「世界的な人件費の高騰もあって自動化の市場は拡大を続けている。2040年までの15年間で、自動化と関わる産業用ロボットの市場規模は50倍に拡大する。今後膨大な数に増えていく産業用ロボットを、どのように制御し全体をまとめていくのか。そこで重要になるのがソフトウェアであり、MujinOSが求められ理由だ」(滝野氏)。
MujinOSのコア技術は、現実世界とコンピュータ上の仮想世界を連携するデジタルツインにある。多数のセンサーで現実世界の情報を収集して仮想世界に反映する一方で、自動化に必要な完全自律型の動作計画を作り出した上で、現実世界の機器をリアルタイムに制御する。滝野氏は「この制御結果をセンサーで情報収集して仮想世界に反映し、より最適な動作計画を作り出すというサイクルを1秒間に何万回転もさせる」と説明する。
MujinOSは産業用ロボットを制御するMujinコントローラーの他に、AGV(無人搬送車)などの移動を制御する「Mujinフリートマネージャー」、これら多数のロボットの制御実行を管理する「MujinWES」から構成されている。今回調達した資金は、自動化に必要なロボットや設備のメーカーやロボットのインテグレーターに対して、MujinOSやセンサー、キーコンポーネントを提供する“プロダクトビジネス”への移行に活用する。また、MujinOSが組み込まれた自動化システムの制御実行を管理するMujinWESの事業展開も拡大する方針だ。
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