清掃ロボットを完全内製化したアイリスオーヤマ、AIとの融合でさらなる進化へ:ロボット開発クローズアップ(1/4 ページ)
アイリスオーヤマがハードウェア/ソフトウェアともに完全内製化した法人向け集じん清掃ロボット「JILBY」を発表。完全子会社のシンクロボがソフトウェアを開発し、ハードウェアはアイリスオーヤマの大連工場で製造する。
アイリスオーヤマは2025年10月29日、東京都内で会見を開き、ハードウェア/ソフトウェアともに完全内製化した法人向け集じん清掃ロボット「JILBY(ジルビー)」を発表した。完全子会社のシンクロボがソフトウェアを開発し、ハードウェアはアイリスオーヤマの大連工場で製造する。2026年半ばの発売を予定しており、3年間で1万5000台の出荷を目標とする。価格は検討中だ。
JILBYの開発によって、アイリスオーヤマはロボットメーカーとして自立し、製品の企画/開発/製造/販売/アフターサービスまでの一貫体制を確立する。アップデートや改善に加えて、導入施設や外部システムとの連携、カスタマイズなどに対応して機能拡張できるようになる。
併せて、同社とNTT西日本グループとの協業についても発表した。NTT西日本とロボットスタートアップのugoが共同で開発した「AIロボティクスプラットフォーム」を用いて、ユーザーとロボットがテキストや音声で双方向コミュニケーションを行うためのAI(人工知能)エージェントを実装した。さらに、蓄積された清掃データを基に、AIが自律的に学習し最適な清掃ルートや頻度、時間帯などをAIエージェントが提案することで、清掃業務の効率化/最適化を実現する。
まずは業務用清掃ロボット関連事業で2027年度に1000億円の売上高を目指す
アイリスオーヤマは2020年11月にロボティクス事業に参入した。以降5年間の累計導入社数は6500社を超え、業務用清掃ロボットにおけるベンダーシェアは2023年から2年連続で1位(富士経済調べ)となっている。2023年7月には、スタートアップのスマイルロボティクス(現・シンクロボ)を買収して完全子会社化した。
アイリスオーヤマ 代表取締役社長の大山晃弘氏は「アイリスオーヤマは『Japan Solution』を掲げて社会課題の解決に取り組んでいる。労働力不足をロボットで解決することを目指すロボティクスへの取り組みもその一つだ」と語る。
足元で、ほぼ全ての非製造業領域で人手不足が進んでおり大きな社会課題となっている。サービスロボット市場も拡大しているが、日本はサービスロボットの供給国としては米国、中国、ドイツに次ぐ4位と後れを取っている。そんな中で、アイリスオーヤマの清掃ロボットの累計出荷台数は既に2万台を突破している。
さらに、同社が本格的なロボットメーカーとなることを目指すために、新型の清掃ロボットでは完全内製化を実現した。今後は、清掃ロボットに限らず領域を拡大することを目指していくが、まずは業務用清掃ロボット関連事業においては2027年度に1000億円の売り上げを目標とする。JILBYをアンベールして披露した大山氏は「JILBYは社会課題に真正面から挑む姿勢の象徴だ」と訴える。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.





