空気不要タイヤ「AirFree」の乗り心地は? ブリヂストンが社会実装に本腰:材料技術(1/2 ページ)
ブリヂストンは、空気充填が不要な次世代タイヤ「AirFree」を装着したグリーンスローモビリティの試乗会を開催。富山県富山市で2025年11月より実証を行い、2026年に実運用を開始する予定だ。
ブリヂストンは2025年10月17日、空気充填が不要な次世代タイヤ「AirFree(エアフリー)」のグリーンスローモビリティ(時速20km未満で公道走行が可能な電動車)専用モデルを初公開し、自治体およびメディア向けに説明会を開催した。また同日、ブリヂストンのイノベーションパーク(東京都小平市)内において、AirFree装着車両の走行デモンストレーションと、自治体向け試乗会を行った。
試乗した感想は「違和感ない」
試乗会はブリヂストンのイノベーションパーク内のコースで実施された。自治体担当者が複数人に分かれてグリーンスローモビリティ車両に乗車し、直線コースを時速約20kmを維持した状態での5分前後の走行を体験した。
実装予定のグリーンスローモビリティ車両は、カートタイプとバスタイプの2種類。カートタイプがヤマハ発動機の電動カートで、バスタイプがシンクトゥギャザーの低速電動コミュニティビークルだ。
試乗会で初めてAirFree装着車両に乗ったという富山県富山市の担当者は、「通常のタイヤと比較しても全く違和感がなかった」とコメント。その他の参加者からも、「路面からの反動を吸収しづらく足回りが硬いイメージがあったが、(AirFreeだと)言われないと分からないと思う」「若干振動は気になるが、グリーンスローモビリティくらい低速であれば問題ない」といった感想があがった。
なぜ空気が不要? AirFreeの構造とは
AirFreeは、トレッドのゴム部分と再生可能樹脂で形成されたスポーク部分で構成された「空気不要の次世代タイヤ」だ。スポーク部分はブリヂストンの独自開発である熱可塑性樹脂を張り巡らせており、この部分が従来のタイヤに入っている空気の代わりに荷重を支える仕組みだ。トレッドには従来同様のゴム素材を用いている。
走行中に路面から衝撃を受けると、スポーク部分が変形して衝撃を吸収する。現状のモデルは1輪当たり約300kgの荷重に対応し、耐用年数や走行距離は従来のタイヤと変わらないという。
AirFreeは、一般的なタイヤに求められる空気の充填(じゅうてん)が不要なので、充填した空気がタイヤから漏れるパンクが起こらないことが最大の特徴だ。また、スポーク部分に用いる熱可塑性樹脂は粉砕して溶かすことで再成形が可能であり、タイヤの接地表面のゴム部分を削って新たなゴムを貼り付けるリトレッドと併せて再利用性が高いタイヤとなっている。
なお、スポーク部分のブルーカラーは「エンパワーリングブルー」と呼ばれ、視認性が下がり交通事故が多く発生する夕暮れどきでも目立つ色としている。
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