ダッソーが実寸大VRを活用したコンサルサービス「TELEPORT 1/1」を国内展開:VRニュース(1/2 ページ)
ダッソー・システムズは、コラボレーション型VR没入体験を活用したコンサルティングサービス「TELEPORT 1/1」の専用スペースを同社 大崎オフィスに設置し、サービス提供を開始すると発表。併せて、TELEPORT 1/1の設備も公開した。
ダッソー・システムズは2025年10月3日、記者説明会を開催し、コラボレーション型VR(仮想現実)没入体験を活用したコンサルティングサービス「TELEPORT 1/1(テレポート)」の専用スペースを同社 大崎オフィスに設置し、サービス提供を開始すると発表。併せて、TELEPORT 1/1の設備も報道陣に公開した。
複数の関係者が実寸大のVR空間に入り、同じスケール感で設計レビューや意思決定を行えることが特長である。製造や建設、インフラ分野をはじめ、研究/教育機関など幅広い領域への応用が期待されており、今後、TELEPORT 1/1の専用スペースを活用したコンサルティングサービスを国内企業向けに展開していく。
フランスに次いで2カ国目となる「TELEPORT 1/1」センターの設置
TELEPORT 1/1は、同社が長年培ってきたバーチャルツイン技術と3D設計技術を融合したコラボレーション環境である。ユーザーはヘッドマウントディスプレイ(以下、HMD)を装着し、専用スペースから複数人で同じVR空間に入ることができる。なお、現時点では遠隔地からの参加には対応しておらず、あくまでもTELEPORT 1/1の設備がある専用スペース(日本では同社大崎オフィス)での体験が前提となる。
参加者はVR空間内を自由に歩き回り、会話を交わしながら設計対象物を実寸スケールで確認できる。例えば、新設予定の工場レイアウトをVR空間に再現することで、設計の初期段階から課題を洗い出し、関係者間で共通認識を形成できる。デザインレビューや意思決定をその場で行えるため、プロジェクト全体の効率と安全性を大幅に高められる。
同社は、2015年に参画したエジプト・ギザのピラミッド研究プロジェクトをきっかけに、2018年から実寸大の没入型VRアプリケーションの開発を進め、TELEPORT 1/1の展開につなげてきた。現在は、フランス・パリの「シテ建築遺産博物館」と、パリ近郊にある本社内にTELEPORT 1/1センターを設置し、ラスコー洞窟の研究や2019年に火災に見舞われたノートルダム大聖堂の復元プロジェクトなど、科学的遺産研究や技術革新に活用している。
さらに、TELEPORT 1/1の技術は「大阪・関西万博」のフランスパビリオン(以下、フランス館)の建設にも生かされている。2024年の段階で、同社はフランス館を担当する運営会社のCOFREXと連携し、シルバースポンサーとしてTELEPORT 1/1を用いた設計支援を行った。その際、建築家やデザイナー、運営関係者がVR空間上で設計内容を確認しながら意思決定を行い、建築領域以外の民間や公共パートナーも参加できる仮想プレゼンテーション環境を構築した。
ダッソー・システムズ 代表取締役社長のフィリップ・ゴドブ氏は「大崎オフィスに新設したTELEPORT 1/1の専用スペースは、フランスに次いで2カ国目(フランス国外では初)の常設センターとなる。日本のパートナー企業にフランス本社のTELEPORT 1/1センターを案内したところ、日本でも導入してほしいという要望をいただいた。日本の顧客の多くは、製品やプロセスをより深く理解し、予測したいという強いニーズを持っている。TELEPORT 1/1は、実世界で実行する前に仮想空間で可視化/検証できるソリューションであり、コンサルティングサービスを通じて多くの日本企業にその価値を提供できると考えている」と述べる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.