USB-PD 3.1に対応、低背3mmの導電性高分子タンタル固体電解コンデンサー:組み込み開発ニュース
パナソニック インダストリーは、USB Type-C高出力給電に対応する導電性高分子タンタル固体電解コンデンサー「POSCAP 50TQT33M/63TQT22M」を製品化した。高さ3mmの低背で大容量化と高耐圧化を両立させている。
パナソニック インダストリーは2025年9月18日、USB Power Delivery 3.1に対応した導電性高分子タンタル固体電解コンデンサー「POSCAP 50TQT33M」「POSCAP 63TQT22M」を製品化したと発表した。同年12月から量産を開始する。
同製品は、USB Type-Cコネクターでの最大240W(48V/5A)の給電に対応し、電源回路の電圧安定化やノイズ除去に適している。ノートパソコンやディスプレイなど情報通信機器での採用が想定される。
独自の粉末成型技術と皮膜形成技術により、高さ3mmの業界最低背で、従来は困難とされていた大容量化と高耐圧化を両立させた。定格電圧は50Vと63V、静電容量は22μF以上を確保している。
同社は1997年に導電性高分子タンタル固体電解コンデンサーの量産を開始して以来、業界をリードしつつ製品を開発してきた。新製品は、従来は耐圧35Vまでだったラインアップを拡張するもので、USB-PD 3.1の36V(180W)、48V(240W)に対応可能だ。
サイズは両製品とも7.3×4.3×2.8mm。50V品の50TQT33Mは容量が33μF、ESRが100mΩ、リプル電流が1200mArmsで、63V品の63TQT22Mは容量が22μF、ESRが150mΩ、リプル電流が990mArmsとなっている。保証温度範囲はいずれも−55〜+105℃。また、105℃で2000時間の寿命保証がある。
低背化により、体積を業界標準比で25%削減できることから、部材削減と環境負荷低減にもつながる。USB Type-C対応機器の小型化、高機能化に貢献する。
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