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ADASの高精度地図が空港や港湾に、狭域エリアの自動運転車普及へ応用自動運転技術(1/2 ページ)

空港や物流センター、発電所、港湾、工事現場など限られた狭域エリアでレベル4の自動運転車を導入するため、ダイナミックマッププラットフォームは、高精度3次元地図とエリア内の動的/静的情報を集めたデータ連携基盤を国家プロジェクトで構築している。

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 空港や物流センター、発電所、港湾、工事現場など限られた狭域エリアでレベル4の自動運転車を導入するため、ダイナミックマッププラットフォームは、高精度3次元地図(HDマップ)とエリア内の動的/静的情報を集めたデータ連携基盤を国家プロジェクトで構築している。また、ダイナミックマップの国際標準化も推進し、レベル4の自動運転車の普及につなげる。2028年ごろから社会実装していく。


各分野での自動運転車の普及見通し[クリックで拡大] 出所:ダイナミックマッププラットフォーム

空港や港湾のダイナミックマップもライセンス型へ

 ダイナミックマッププラットフォームは2025年8月26日に開いた説明会で、内閣府や経済産業省の国家プロジェクトでの取り組みについて紹介した。

 ダイナミックマッププラットフォームは、「プロジェクト型」「ライセンス型」の2本柱でビジネスを展開している。プロジェクト型はHDマップをその地域で初めて整備するなどの取り組みを指す。ある程度の投資が必要だが、事業基盤構築の役割を担う。ライセンス型は、プロジェクト型で整備したHDマップの知的財産権を利用して収益性を得るビジネスモデルだ。

 ダイナミックマッププラットフォームは、新車のADAS(先進運転支援システム)向けHDマップで知られる。これまでは公道で新規のHDマップ整備に力を入れてきたが、先進国の高速道路での新規整備は完了している。新たな自動車メーカーとの取引や搭載車種の拡大によってライセンス型の成長を目指す段階にある。

 そこで狙っているのが、空港や物流センター、発電所、港湾、工事現場といった狭域エリアでのレベル4の自動運転車導入に向けたプロジェクト型のビジネスだ。まずは空港でレベル4の自動運転車が走行可能なデジタルインフラを整備し、物流センターや発電所、建設現場などにも応用可能な部分をライセンス型のビジネスとして生かす。

 狭域エリアでも、公道のADASや自動運転システムと同様のアプローチをとる。HDマップを作成する他、カメラやセンサーなどの動的情報、交差点や工事、施設に関する静的情報を1つのデータ連携基盤に集約する。そのデータ連携基盤の上で運行管理システムを運用し、狭域エリア内を走るレベル4の自動運転車を管理する。


空港内の自動運転を他の業種や海外にも展開[クリックで拡大] 出所:ダイナミックマッププラットフォーム

HDマップからダイナミックマップへ

 内閣府による「研究開発成果とsociety5.0との橋渡しプログラム(通称BRIDGE)」において、ダイナミックマッププラットフォームは経済産業省による研究開発事業「公共エリア向けダイナミックマップの開発」を受託している(「公共エリア」は空港や港湾を指す)。2023年度から継続して受託し、2024年度までにHDマップの仕様やダイナミックマップの構成を策定した。

 受託事業では、公共エリア内の突発的な工事や障害物など自動運転の妨げとなる動的情報を画像解析によって把握してHDマップに統合することに取り組む。航空機に接触しないよう、どのように車両を走行させるかといった特有の情報も付け加える。工事箇所を避けた経路を策定するなど、人間の判断に近い対応を可能にする。

 また、公共エリア向けダイナミックマップの開発では、専用の計測車両ではなく持ち込み可能な機材のデータで地図情報を更新するプロセスも構築する。公共エリアは機材の持ち込みが難しい区域があるためだ。スマートフォンのカメラ映像など持ち込める機材のデータのみで地図情報を更新できるようにすることで、短期間かつ低コストで公共エリアの地図情報の鮮度を維持していく。


空間情報システムとは[クリックで拡大] 出所:ダイナミックマッププラットフォーム

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