インタポーザはどう変わる? オーク製作所のダイレクト露光装置に数十社関心:FAニュース(1/2 ページ)
オーク製作所がNEDOの委託事業を受けて、新たなダイレクト露光装置を開発した。今後のインタポーザのトレンドに対応した、装置となっており既に多数の企業から引き合いが来ているという。
オーク製作所とNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は2025年8月27日、東京都内で記者会見を開き、オーク製作所がNEDOの委託事業の一環として開発したダイレクト露光装置の概要を説明した。1μmの解像性能を持った光学系を新たに開発するなどし、有機材料上で線幅2μmの銅めっき配線形成が実現可能だと確認したという。
AI(人工知能)の普及などに伴い、膨大なデータを高速に処理する先端半導体へのニーズが高まっている。ただ、高性能化を実現してきた従来の半導体の微細化技術は物理的、経済的な限界を迎えている。そこで、半導体回路を機能単位に小さく分割し、それぞれ最適な技術で製造して組み合わせるチップレット技術が着目されている。チップレットの実現には、半導体を組み合わせ、横並びに実装し、垂直方向に積層して高集積化する半導体後工程の先端パッケージング技術が必要不可欠だ。
先端半導体パッケージでは、GPU(Graphics Processing Unit)やHBM(High Bandwidth Memory)などの半導体チップとパッケージ基板の間に、微細な配線層(RDL)を持つインタポーザと呼ばれる中間層が存在する。今回、オーク製作所が開発したダイレクト露光装置は、インターポーザにおける微小ビアと微細配線の形成に用いるものだ。
オーク製作所 取締役会長 CEOの橋本典夫氏は「将来的にマスクレスが優位点になると考え、2000年代のはじめからダイレクト露光装置の開発に取り組んできた。今回、NEDOから次世代半導体パッケージ向け露光装置に関する話をいただき応募した。NEDOから大きなサポートをいただいて開発に取り組んだ」と話す。
近年、インターポーザに載せるチップの数が増えており、インタポーザのサイズが大型化している。「特にHBMの数が増えて、それらを載せるインターポーザのサイズも大きくならざるを得なくなっている」(オーク製作所 CEO統括室 マーケティング担当 副参事の中澤憲治氏)。
インターポーザが大型化する中で、インターポーザの材料も従来のシリコンからより安価な有機材を採用する流れがある。さらにインターポーザの取り数を増やすため、これまでの円形のウエハーから角型のパネルへの置き換えが進むと見込まれている。
これまでインターポーザの微細配線の形成には、回路パターンを転写するための原版であるフォトマスクを用いたマスク露光が一般的で、i線露光装置が使われてきた。ただ、中澤氏「今後のインターポーザのトレンドにおいて、i線露光装置は幾つかの課題を抱えている。潮目が変わるのではないか」と見る。
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