PFUがAIの力で挑む 町田でごみの中に潜む「リチウムイオン電池」を見つけ出せ!:人工知能ニュース(1/2 ページ)
近年、ごみ処理施設での火災が増えている。その原因の多くは、ごみの中に不適切に混入されたリチウムイオン電池だ。作業員が手作業で探すには限界があり、危険物が見落とされ、大きな事故につながるリスクがある。そんな課題を解決するため、PFUとIHI検査計測がAI(人工知能)を活用しリチウムイオン電池検知システムを開発。町田市バイオエネルギーセンターで行われた実証実験では、このAIがごみ袋の中に隠されたリチウムイオン電池をどのように見つけ出したのか、その詳細に迫る。
PFUは2025年8月28日、ごみ処理施設「町田市バイオエネルギーセンター(東京都町田市)」でリチウムイオン電池検知システム試作機の実証実験の見学会を開催した。
ごみ袋の中に隠すように配置されているリチウムイオン電池
近年、国内ではリチウムイオン電池を使用した製品が増加している。一般家庭で利用されたリチウムイオン電池搭載製品は、不燃ごみや粗大ごみ、プラスチックごみといった不適切な分類で廃棄されるケースがある。廃棄物処理施設では、こういったリチウムイオン電池が原因となり、廃棄物を処理する過程で発火/火災が多数発生している。
こういった状況を踏まえて、町田市バイオエネルギーセンターでは、不燃ごみやプラスチックごみが入った袋を専用の装置で処理する前に、作業員が袋を破って中身を確認し、リチウムイオン電池搭載製品などの危険物がないかをチェックしている。PFU コミュニケーション戦略室 広報部 メディアリレーション課の小山泰知氏は、「しかしながら、こういった危険物はごみ袋の中に隠すように配置されているため、作業員が見落とし、発火/火災につながっている」と話す。
そこで、PFUとIHI検査計測は2024年9月に町田市と連携し、両社が開発したリチウムイオン電池検知システムの試作機を用いて、町田市バイオエネルギーセンターで搬入不適ごみ検出に関する実証実験を同月9〜12日に行った。小山氏は、「この実証実験ではリチウムイオン電池検知システムの試作機の搬入不適ごみ検出率は91.8%だった」と述べた。
この実証実験で得られた結果から、さらに検出の精度を高めた試作機で2回目の実証実験を町田市バイオエネルギーセンターで2025年8月25〜28日に実施した。
今回の試作機は、PFU製の画像認識AI(人工知能)エンジン「Raptor VISION BATTERY」やIHI検査計測製のX線照射装置(X線検査センサー)、コンベヤーベルト、プロジェクションマッピング装置、可視光カメラ、モニター、筐体などから成る。1日当たり最大で72トンのごみを処理する能力がある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.