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乾燥重量法はもう不要? 島津製作所の技術が実現する「全数リアルタイム」水分検査FAニュース(1/2 ページ)

パックご飯をはじめとする食品の品質管理に必要な水分率の測定。これまで主流だった「乾燥重量法を用いた抜き取り検査」では、時間と手間がかかる上、全数検査は不可能だった。この課題を解決すべく、島津製作所はインライン水分率モニター「MMSシリーズ」を開発した。全数/非破壊で、生産ライン上の製品をリアルタイムに検査するこの製品は、どのようにして製造現場の生産性を劇的に向上させるのか。

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 島津製作所は2025年8月26日、京都市中京区の本社とオンラインで記者会見を開き、同日に発売したインライン水分率モニター「MMSシリーズ」の概要を説明した。希望販売価格は550万円〜(税込み、構成により異なる)で、販売目標台数は年間100台を掲げている。

近赤外線方式では対応できない厚みがある対象物も計測可能

 現在、食品工場などで食品の水分率を測定する際には主に、試料を乾燥させ、重量減少分を水分量として算出する「乾燥重量法」を採用している。現場では定期的にライン上の食品を抜き取り、乾燥重量法で検査を行い、水分率の管理を行っている。

 しかし、乾燥重量法は1つの試料の水分率測定に時間を要し、短時間で結果を求めることが困難だ。測定のための作業者も必要で、かつ作業者により値のバラツキも生じやすい。これらの要因により、インラインでの全数検査に対応できない。

「乾燥重量法」の課題
「乾燥重量法」の課題[クリックで拡大] 出所:島津製作所

 そこで、島津製作所は製造ラインのコンベヤー上に直接設置し、リアルタイムで全数検査できるインライン水分率モニターとして、MMSシリーズを開発した。

 MMSシリーズは、電磁波方式により非接触/非破壊で全数測定でき、生産性向上に貢献する。近赤外線方式では対応できない厚みがある対象物も計測可能だ。抜き取り検査で応じられないリアルタイム測定も行え、省人化に役立つ。繰り返し測定精度は±0.1%で、測定周期0.1秒を実現している。島津製作所 産業機械事業部 技術部 部長の吉岡尚規氏は「1個当たり0.6〜0.7秒で水分率を測れる」と語った。

MMSシリーズの特徴
MMSシリーズの特徴[クリックで拡大] 出所:島津製作所
測定方式の比較
測定方式の比較[クリックで拡大] 出所:島津製作所

 さらに、グラフ表示で水分率のトレンドも確かめられる。水分率の記録をデーターサーバなどに一元管理管理可能で、DXにも貢献する。

 MMSシリーズの種類は反射方式と透過方式の2種となる。反射方式は、食品が流れる金属製のコンベヤーや運搬トレイの上部にセンサーを設置し、食品が通過する際に水分率をリアルタイムで測定する。透過方式は、樹脂製のコンベヤーの上下にセンサーを対向する形で配置し電磁波を透過させることで、高精度な測定を実現できる。「標準仕様として主に販売するのが反射方式で、透過方式はオプションとして提供する。透過方式の方が感度が良いため、低水分率の測定に適しているが、コンベヤーを挟む形で設置するため計測ユニットが2台必要だ。反射方式は1台の計測ユニットで済む」(吉岡氏)。

反射方式のMMSシリーズ
反射方式のMMSシリーズ[クリックで拡大] 出所:島津製作所
MMSシリーズの製品仕様
MMSシリーズの製品仕様[クリックで拡大] 出所:島津製作所

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