AI処理とエッジコンピューティング対応のHMIシステム向けMPUを発売:人工知能ニュース
ルネサス エレクトロニクスは、HMIシステム向けの64ビットMPU「RZ/G3E」を発売した。AI処理、エッジコンピューティング機能、フルHD表示を1チップで提供する。
ルネサス エレクトロニクスは2025年7月29日、64ビット汎用MPU(マイクロプロセッサユニット)「RZ/G3E」の量産開始を発表した。産業や民生分野のHMI(Human Machine Interface)システム向けに最適化しており、AI(人工知能)処理とエッジコンピューティング機能、フルHD表示を1チップに統合している。
RZ/G3Eは、最大1.8GHz動作のArm Cortex-A55を4コア、Cortex-M33を1コア搭載。AI処理用としてArm Ethos-U55も内蔵し、CPU負荷を抑えながら画像分類や物体認識、音声認識、異常検知などを実行できる。HMI機能は、60fpsのフルHD映像を2画面同時に表示でき、LVDS、MIPI-CSI、パラレルRGBの3方式の映像出力に対応する。MIPI-CSIカメラインタフェースも搭載しており、映像入力を活用したセンシング用途にも対応可能だ。
通信機能では、PCI Express 3.0(2レーン)による最大8Gbpsの通信、USB 3.2 Gen2による10Gbpsのデータ転送、2チャネルのギガビットイーサネットを搭載した。電源制御機能により、ディープスタンバイ時は1mWクラスまで待機電力を低減。通常待機時でも、50mWクラスの低消費電力を可能にした。
同社はウィニングコンビネーションとして、フルHDデュアルディスプレイHMIプラットフォームやデジタル耳内視鏡ソリューションを公開している。今後、エコシステムパートナーによる各種モジュール製品も順次提供する予定だ。
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