冷蔵庫に搭載したAIカメラを使った家庭系食品ロス削減の実証実験:人工知能ニュース
パナソニック くらしアプライアンス社は横浜市と協力し、冷蔵庫に搭載したAIカメラを用いた家庭系食品ロス削減の実証実験を開始する。カメラとアプリが家庭の食品管理に与える効果や、利用者の意識と行動の変化を調査する。
パナソニック くらしアプライアンス社は2025年7月23日、冷蔵庫に搭載したAI(人工知能)カメラを用いた家庭系食品ロス削減の実証実験を、横浜市と共同で実施すると発表した。家庭系食品ロス削減を目的に自治体と連携する取り組みは、同社初となる。
実証実験は、横浜市内の30世帯を対象とし、同年10月14日〜11月21日に実施予定だ。AIカメラ搭載の冷蔵庫や後付けした冷蔵庫で、ドアを開けるたびに庫内を撮影し、野菜室の画像からAIが野菜の種類を自動で認識する。無線LANで連携したスマートフォンアプリ「Live Pantry」により、登録した入庫日から利用期限目安を算出して、早く消費すべき順にリスト化する。撮影した画像は同社のサーバに保存され、アプリでいつでも庫内を確認できるため、買い忘れやだぶりを防げる。
横浜市では、年間で約8万5000トンの家庭系食品ロスが発生している。市民1人当たり23kg相当の量で、おにぎり約230個分、金額では約1万9000円ほどになるとされる。今回の取り組みは、横浜市がSDGsの達成と脱炭素社会に向けて進める食品ロスの削減に、同社の技術とサービスを生かして貢献することが狙いだ。
実証では、カメラとアプリが家庭の食品管理に与える効果や、利用者の意識と行動の変化を調査する。得られた結果は、横浜市の啓発活動に役立てられる。また同社は、家庭系食品ロス削減に向けた定量、定性両面の効果を踏まえ、家電を活用した新たな解決策の検討と展開を進めていく方針だ。
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