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CO2回収技術の実証試験開始 固体吸着方式の回収装置活用:脱炭素
三菱電機は、兵庫県尼崎市にある同社の先端技術総合研究所で、CO2回収技術の実証試験を開始した。2027年9月まで実施予定で、台湾の工業技術研究院が開発した回収装置を蒸気発生ボイラーに設置し、排ガスに含まれるCO2回収に取り組む。
三菱電機は2025年6月9日、兵庫県尼崎市にある同社の先端技術総合研究所で、排ガスからのCO2回収技術の実証試験を開始した。台湾の工業技術研究院(ITRI)が開発した回収装置を用いて、2027年9月まで実施する。
実証試験で運用するのは、CO2を吸着させた固体吸着材を加熱してCO2を脱離する、固体吸着方式を採用した回収装置だ。アミン系の水溶液などにCO2を吸収させる従来の液吸収方式は、回収時の加熱エネルギーが水溶液の蒸発に使用されてしまうことが多く、エネルギー損失が発生していた。固体吸着方式は、蒸発によるエネルギー損失がないため、CO2の脱離に要するエネルギーを低減できる。
この回収装置を先端技術総合研究所の蒸気発生ボイラーに設置し、排ガスに含まれるCO2の回収に取り組む。同社のシステム設計や制御技術、エネルギーマネジメント技術を活用し、効率的なCO2回収技術の確立を図る考えだ。
将来的には、分離および回収したCO2を資源として利用するCCU(Carbon dioxide Capture and Utilization)システムを構築し、2029年度以降の実用化を目指す。また、同社のE&F(エネルギー&ファシリティ)ソリューションと組み合わせ、カーボンニュートラルに向けたCO2排出量の削減も進める。
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