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使用済み家電由来の混合プラ再資源化で三菱電機の中核 GCSのリサイクル工程とは?素材/化学インタビュー(3/4 ページ)

三菱電機では家電由来の混合プラスチックのリサイクルを推進している。このリサイクルの中核を担うのが子会社のグリーンサイクルシステムズだ。グリーンサイクルシステムズに、設立経緯、概要、位置付け、混合プラスチックのリサイクルプロセス、導入しているプラスチック選別技術、今後の展開などについて聞いた。

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GCSの混合プラリサイクルプロセス

MONOist 調達した混合プラスチックをGCSではどのようにリサイクルしているのでしょうか。

筒井氏 当社におけるリサイクルの手順は以下の通りだ。まず調達した家電由来の混合プラスチックに対して粒度を均一化させつつ微破砕し、サイズが20mm以下のフレーク状にした後、湿式比重選別で各種プラスチックが比重別に分離される。

GCSのリサイクル工場の内観
GCSのリサイクル工場の内観[クリックで拡大]

 湿式比重選別は浮沈選別とジグ選別から成る。浮沈選別では、水より重いプラスチックは沈降させて分離、そのままジグ選別に送られる。ジグ選別では、揺動水流で比重ごとの層を形成し、軽い比重のPSやアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)混合物と重い比重の難燃性プラスチックなどに選別する。

湿式比重選別のイメージ
湿式比重選別のイメージ[クリックで拡大] 出所:GCS

 浮沈選別後のPPおよびジグ選別後のABSとPSの混合プラスチックに対しては、異物除去装置によりゴムやホットメルトなどの異物を取り除く。

 ABS樹脂およびPSから成る混合プラスチックは除湿乾燥する。続いて、静電選別を行い、ABSのフレークとPSのフレークに分ける。

 静電選別は、摩擦によりプラスチックに静電気を与えた後、+電極と−電極の高圧電界を通過させることで、摩擦帯電序列に従って選別する。具体的には、ABSとPSのプラスチック片が混合したものを帯電筒(摩擦帯電部)に投入し、帯電筒の回転によりプラスチック同士を擦り合わせて摩擦帯電を起こす。

 その際に摩擦帯電序列に従い、ABSは+に、PSは−に帯電する。帯電したABSとPSのプラスチック片は+電極と−電極の間に発生させた高圧電界を通すことで、+に帯電したABSは−電極に、−に帯電したPSは+電極に引き寄せられ、各電極の下方に設置された容器に回収される。両容器の間には仕切りがあり、+に帯電したプラスチックが+電極の下方にある容器に、−に帯電したプラスチックが−電極の下方にある容器に入りにくくしている。なお、中間物は中央の容器に回収される。

静電選別のイメージ
静電選別のイメージ[クリックで拡大] 出所:GCS

 PP、ABS、PSフレークには光学選別の1つである色彩選別機を活用し、白色に近い淡色系のPPを見える化しこのフレークのみを取り出す。

 これらのフレークは、押し出し機で均質/均一になるようにペレット化する。押し出し機は加工中にフィルターを通過させ、異物を捕捉/除去するため、前工程で取り除けなかった異物に対処できる。フィルターには長さ1インチ当たり、40〜120の網目がある。網目が小さいほど異物除去性能は上がるが、生産性が低下する。

 各フレークに着色剤や添加剤を混ぜてペレット化し、色の調整や改質を行うことで、ペレットの付加価値を高める場合もある。

GCSのリサイクル工場の微破砕加工とペレット加工
GCSのリサイクル工場の微破砕加工とペレット加工[クリックで拡大]

 これらのプラスチックペレットをはじめとする再生品は、三菱電機に提供され家電の材料に利用(自己循環)されている他、建築/土木や事務用品、自動車部品のメーカーにも販売され、園芸用品や雨水貯留槽、基礎パッキンの素材として使われている。

 なお、湿式比重選別で分けられた重い比重のプラスチックや、異物除去と静電選別で得られたゴムや接着剤、ペレタイズ対象外のプラスチックは、低グレードの再生プラスチックの材料あるいは燃料として使われる。

三菱電機の自己循環リサイクル事例
三菱電機の自己循環リサイクル事例[クリックで拡大] 出所:GCS

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