検索
ニュース

PETボトルリサイクルの救世主 液相重合で高品質に再生できるワケとは?素材/化学インタビュー(2/4 ページ)

アルテックがNGR製PET樹脂再生装置の展開に注力している。子会社のアルテック新材料も導入し、再生PET製造事業を立ち上げた。アルテック新材料に、これらの動きの背景や装置の特徴、再生PET製造事業などについて聞いた。

Share
Tweet
LINE
Hatena

P-REACTの特徴とは?

MONOist 状態が良くない使用済みPETボトルからでも良質なリサイクルPETペレットを生産できるP-REACTの特徴について教えてください。

横田氏 アルテック新材料の国内モデルプラントに導入しているP-REACTは、一次結晶化サイロや乾燥機サイロ、エクストリューダー、スクリーンチェンジャー、液相重合(LSP)装置、液相重合ヒーティング装置、液相重合バキュームフィルター、ペレタイザー、中間取り出しサイロ、二次結晶化サイロ、脱アセトアルデヒドサイロ、冷却サイロ、フレコンステーションで構成される。

P-REACTの設備全体図
P-REACTの設備全体図[クリックで拡大] 出所:アルテック新材料

横田氏 このP-REACTの利用手順は以下の通りだ。まず当社が調達したアルカリ洗浄済みのPETボトルフレークを一次結晶化サイロに投入し、結晶化して乾燥工程で表面が溶けて固着しないようにする。次に乾燥機サイロで乾燥させた後、エクストリューダーで溶かす。PETボトルフレークを溶かした後、スクリーンチェンジャーで異物を除去する。続いて、溶融した状態のPETボトルフレークをLSP装置で液相重合し、固有粘度(IV)値の上昇と除染を行う。次に、スクリーンチェンジャーで異物を取り除く。

 その後、ペレタイザーでペレット化する。次の中間取り出しサイロは製造途中のペレットを抜き出せる工程で、ペレットの状態に問題があれば排出できる。続いて、二次結晶化サイロでペレットを結晶化する。次に脱アセトアルデヒドサイロでペレットのアセトアルデヒドを取り除いた後、冷却サイロでペレットを冷やす。最後にフレコンステーションに冷ましたペレットを梱包し、リサイクルPETペレットが完成する。

P-REACTの工程
P-REACTの工程[クリックで拡大] 出所:アルテック新材料

横田氏 P-REACTのポイントは、「早くて効率的なプロセス」「リアルタイムにIV値を計測。状変化に素早く対応(生産中のロスが少ない)」「除染効率が非常に良い」だ。

 「早くて効率的なプロセス」に関して、他社のPET樹脂再生装置で採用されている固相重合(SSP)はIV値の上昇で必要な滞留時間は0.01dl/gで約1時間だが、LSPの場合は0.01dl/gのIV上昇を1分以内に行える。さらに、IV値の上昇と並行して除染も実施できる。

P-REACTでは早くて効率的なプロセスを採用
P-REACTでは早くて効率的なプロセスを採用[クリックで拡大] 出所:アルテック新材料

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る