金型、開発、評価試験も 現地化でダントツ後押しパナソニックEWベトナム工場:モノづくり最前線レポート ベトナム編(2)(2/3 ページ)
パナソニックのベトナムにおける配線器具事業の成長を支える、パナソニックエレクトリックワークスのベトナム工場におけるモノづくりをレポートする。
権限委譲で製品開発の現地化加速、専任トレーナー制で生産性向上
配線器具の自動組み立て機は、当初、マザー工場に当たる日本の津工場(三重県津市)で作られた設備を使っていたが、今はベトナムのサプライヤーが作った設備も導入している。一部の工程では、カメラとセンサーを使って組み立て作業者の動作を自動分析し、標準時間より長くかかっている場合は、カメラの映像を基に要因を分析する取り組みも行われている。射出成型機にトラブルが起きた際の復旧作業の検証にもカメラ映像を使用する予定だ。
ベトナムのニーズに合った製品を素早く市場に投入するため、ベトナム人による新商品開発および品質評価の現地化を進めている。そのため、第二生産棟には26台の評価設備を導入された。
従来は日本から来た出張者がマーケティング調査、商品企画を行い、日本で設計、開発、品質評価を行っていたが、商品企画、設計、品質評価などを順次現地化している。2025年にはこれらの権限を日本から委譲し、完全な現地推進化を図る。これにより従来と比べて企画から製品投入までのリードタイムを40%短縮する。
工場では複雑な形状の製品を高精度かつ高速で生産するため、作業者には高い技能が要求される。そこで、人材育成のため、日本から来た各分野のスペシャリストが、ベトナム人の技能者をOJTで教育している。
離職や増産対応などで毎月20人ほどの新しい人材が入ってくる。その際には、実際の現場に入る前に、「ものづくり道場」において、パナソニックにおける品質の考え方や製品の組み立て方を時間をかけて教育している。教育を担当するトレーナーは専任となっており、教えられる側だけでなく、教える側のレベルの向上も図っている。
1週間の座学の後、現場でのトレーニングに入るが、その際も専任トレーナーが現場に入って教育する。「以前は現場のリーダーが教育していたが、どうしても片手間になってしまいがちだった。それを専任の担当者が行うことで生産性を高めることができた」(内藤氏)。
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