オリンパスの倉庫自動化プロジェクトが最終段階に、自動梱包で何を実現したのか:物流のスマート化(2/3 ページ)
オリンパスの相模原物流センターにおける倉庫自動化プロジェクトが最終段階を迎えた。これまでに導入した3つの自動倉庫システムに加えて自動梱包ラインを構築したのだ。この自動梱包ラインは、コスト削減ではなく、貨物の絶対数と容積の圧縮を目標に掲げている。
レンゴーが開発した自動梱包機「J-RexS」の第1号機を導入
では、貨物の絶対数と容積を圧縮するには梱包ステーションでどのような作業を行えばいいのだろうか。オリンパス SCM ディストリビューションジャパン ウェアハウスソリューションズ マネジャーの高森茂氏は「梱包ステーションでは、収納する医療製品のサイズや数に合わせて最適なものを選べるように複数種類の段ボールを用意しているが、段ボールにぴったり収まらない場合には緩衝材が必要になる。つまり、段ボールに医療製品が入ってない空間の分だけトラックの荷室の容積を無駄使いしていることになる。この無駄になっている空間をできるだけ小さくできれば、貨物絶対数と容積の圧縮につなげられる」と語る。
このためにオリンパスが必要になると考えていたのが、中に詰めた商品の高さに合わせて段ボールを切断し封かんする自動梱包機だった。先述した通り、倉庫自動化プロジェクトの当初はそういった自動梱包機はなかったが、オリンパスをはじめとする市場のニーズに応えてレンゴーが開発したのがJ-RexSである。
相模原物流センターは、このJ-RexSのテープ式標準機の第1号機を導入して自動梱包ラインを構築した。その効果としては、目標としていた貨物の絶対数と容積の圧縮に加え、梱包ステーションにおける段ボール選定作業の負荷低減、中に詰めた商品の高さに合わせて段ボールを切断し封かんすることによる緩衝材を入れる作業の省略、封かん作業の自動化などが挙げられる。また、自動梱包ラインでは、自動梱包機の後段に段ボールのサイズと重量を自動で測る計測器があり、この計測値を出荷貨物データとして物流業者と自動連携することで、トラックへの積み込み作業の効率化も図れるという。貨物の容積を圧縮できているので、その分だけ梱包資材量も削減できることになる。
結果として、自動梱包ラインの構築で目標とする貨物容積の削減では、2023年比で17%の削減を達成した。また、物流20204年問題への対応で物流業者から引き渡し時間の前倒しを求められるようになっているが、梱包作業の一部自動化によるスピード向上の効果もあって、出荷業務への影響はゼロに抑えられているとする。「以前の締め切りは20時だったが、今は1時間前倒して19時になっているが問題は起きていない」(高森氏)という。さらに、当初目標だったコスト削減についても、輸送サイズダウンによる宅配便支払い費削減、梱包資材の削減などにより、年間で4%のコスト削減につながっているという。
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