製造業のDXと定年後の働き方調査――約55%が「定年後も働き続けたい」:キャリアニュース
キャディが「製造業のDX化と定年後の働き方」に関する調査結果を発表した。50歳以上の製造業従事者の54.7%が「定年後も働き続けたい」と回答し、そのために「DX関連のスキルを身につけたい」と74.6%が考えていた。
キャディは2025年1月15日、「製造業のDX化と定年後の働き方」に関する意識調査の結果を発表した。
同調査の対象者は、50歳以上と回答した製造業従事者で、406人から有効回答を得た。
初めに、DX(デジタルトランスフォーメーション)の意味を知っているか尋ねたところ、「知っていて意味や内容を説明できる」(38.9%)が最も多かった。次いで「知っているが意味や内容は説明できない」(28.1%)、「聞いたことはあるが、意味は知らない」(18.7%)となった。
次に、DXのためのツール導入状況を確認した。1位は「紙媒体のデジタル化」(49.8%)、2位が「営業、会議のオンライン化」(46.3%)、3位が「リモートワークの実施」(40.4%)となった。基本的な活用が上位を占めており、基幹、業務システムやデータ活用への導入は一部にとどまっている。また、「導入していない」も2割以上で、導入状況に差があることが明らかになった。
前問で、DXのためのツールを導入していると回答した人に、業務で最も使用頻度が高いDXツールについて使用した感想を尋ねた。その結果、最も多かった感想は「想像していたより難しくなかったが、慣れが必要だと思った」(27.3%)、次いで「業務をしながら使いこなせるようになって自信がついた」(25.0%)、「基本操作は簡単だが、応用的な使い方には勉強が必要だと思った」(18.8%)となった。
また、DXのためのツールを導入していると回答した人に、DXツールを活用するために自身で取り組んでいることを尋ねたところ、1位は「とくに取り組んでいるものはない」(32.1%)、2位が「任意参加の社内のセミナーや勉強会などへの参加」(31.5%)、3位「専門サイトや動画などインターネットを活用して自己学習」(27.0%)となった。
続いて、定年後も働き続けたいと思うか尋ねた。「とてもそう思う」が23.9%、「ややそう思う」が30.8%となり、定年後も働き続けることに意欲的な人が54.7%いることが分かった。「とてもそう思う」「ややそう思う」と回答した人を年代別に見ると、60代、70代が60.1%、50代が51.3%となっている。
定年後も働き続けたいかの質問に「とても(やや)そう思う」「どちらともいえない」と回答した人に、どのように働きたいかを尋ねたところ、「現在の勤務先で同じように働きたい」(50.5%)が最も多かった。次いで「まだわからない」(18.0%)、「転職して同じような仕事をしたい」(12.9%)となっている。
「在職老齢年金」が見直された場合、働く意欲は変わるか
厚生労働省が制度見直しを検討している「在職老齢年金」について、改正で基準額の引き上げや撤廃があった場合、働き続けることへの意欲は変わるかと尋ねた。その結果、「まだわからない」が55.2%で最も多かった。次の「働く意欲が上がる」は28.6%で、製造業での働き手が増えることが予想される。
「定年後も働き続けるためにDX関連のスキルを身につけたいと思いますか」という質問には、「積極的に学んで身につけたい」が18.2%、「必要であれば学んで身につけたい」が56.4%となり、74.6%がDX関連のスキルを学んで身に付けたいと考えていることが分かった。
勤務先でのDX推進に関するサポート体制や教育制度については、「あまり整っていない」が40.6%、「全く整っていない」が19.2%となり、59.8%が整っていないと回答した。
DX関連のスキル習得について直面している課題は、1位が「業務との両立が難しく、学習の時間を十分に確保できない」(20.7%)、2位が「会社がDX化されておらず、業務でDXスキルを習得できない」「積極的に学んでいるが新しい技術の登場に追いつけない」(同率17.0%)だった。
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