連載
どうすればChatGPTを製造業のマーケティングでうまく使えるか:間違いだらけの製造業デジタルマーケティング(21)(2/3 ページ)
製造業においてもマーケティング手法のデジタルシフトは加速している。だが、業界事情に合わせたデジタルマーケティングを実践できている企業はそう多くない。本連載では「製造業のための正しいデジタルマーケティング知識」を伝えていく。第21回のテーマはChatGPTを活用したマーケティング業務の効率化について解説する。
(2)適切な前提条件を与える
生成AIに適切な前提条件や制約条件を与えることは、回答の質を高めるうえで重要な要素となる。条件が明確になることで、AIは求められている回答の方向性を正確に理解し、より実用的なアウトプットを提供することができる。
私たち人間は、日々の生活や仕事を通じて蓄積してきた経験や知識から、多くの前提条件や制約条件を暗黙知として理解している。例えば、ビジネスにおける予算制約や時間的制約、社会通念上の常識など、これらを自然と考慮しながら判断を行っている。
一方、生成AIは膨大な情報を基に回答を生成することができるが、人間が当たり前のように持っているこうした暗黙知を十分に理解しているわけではない。そのため、普段は意識せずに判断している要素であっても、AIとのコミュニケーションでは明示的に伝えることが、質の高い回答を得るための重要なポイントとなる。
悪い例:「当社の工業用ポンプのマーケティング施策を提案してください」
良い例:「以下の条件で工業用ポンプのマーケティング施策を提案してください」
製品特性:
- 対象製品:産業用高圧ポンプ(圧力範囲:0.5-5MPa)
- 主な用途:化学プラント向けプロセスポンプ
- 競合との差別化点:メンテナンス頻度が従来比50%減
ターゲット:
- 業種:化学メーカー(年商100億円以上)
- 決裁者:設備投資責任者、工場設備部門長
- 影響者:保全担当マネージャー、プロセスエンジニア
ビジネス条件:
- 販売方式:代理店経由70%、直販30%
- 予算:年間2000万円
- 受注目標:3億円(前年比120%)
- 平均リードタイム:案件発生から受注まで6カ月
その他条件:
- 重点施策期間:来期(4月〜翌3月)
- 既存の営業リソース:営業担当4人、技術営業2人
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